今週:円安で日本企業の好決算に期待!日本株は底堅く推移!?
今週の日本株は、株価の下落要因となる米国長期金利の上昇とそれに伴う1ドル130円台の円安進行をにらんだ展開になるでしょう。
輸出株が潤い、観光も含め国内産業の国際競争力が高まる円安は、米国株に比べて日本株が底堅く推移している理由にもなっています。
さらに、今週は日本企業の2022年3月期の本決算がピークを迎えます。円安もあって好調な決算が相次げば、日本株が反転上昇するきっかけになるかもしれません。
一方、連休明けの5月9日(月)はロシアの対独戦勝記念日です。プーチン大統領がウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」から正式な「戦争」と宣言し、国家総動員体制を敷く可能性もあります。
それは戦争の長期化や拡大を意味するので、資源株以外は株式市場にとってネガティブです。
今週最も注目される経済指標は、11日(水)発表の4月米国CPI(消費者物価指数)です。いまやインフレこそ株価の敵ですが、前回の3月CPIは前年同月比8.5%と40年ぶりの伸びでした。今回は前年同月比で8.1%、前月比で0.2%の伸びが予想されています。
CPIの上昇が長期金利の上昇につながり、株価の下落要因になっています。そのため、今回のCPIが戦争要因で予想を超えた上昇になるか、それとも伸びが鈍化するかが株価の浮沈につながる最大の要因になるでしょう。
インフレのピークが見えれば株価にとってポジティブ。戦争で資源高が続いているため、エネルギーや食品を除くコア指数が鈍化すれば株価反転上昇のきっかけになるかもしれません。
12日(木)には企業間の取引価格の動向を示した4月米国PPI(卸売物価指数)も発表されます。3月は前年同月比11.2%と非常に大きな伸びとなりましたが、こちらも10.7%と伸びが鈍化する予想になっています。その結果もCPI同様に株価に大きな影響を与えそうです。
今週ピークを迎える2022年3月期の決算発表では、10日(火)には資源高で株価が好調な出光興産(5019)や住友金属鉱山(5713)といった資源株の決算が発表になります。
11日(水)は取引時間中の13時台にトヨタ自動車(7203)が決算発表。12日(木)は571社、13日(金)は1,213社と尻上がりに発表する会社が増えます。
決算発表時期は全体相場の動きよりも、個別企業の決算発表に注目が集まります。特に重要なのは、前期の結果よりも、「2023年3月期の業績がどうなるか?」という来年2023年3月までの企業の業績予想です。
戦争による資源高、原材料高と円安の恩恵をてんびんにかけて、各企業が今期の業績をどう予想するかが注目です。
ただでさえ、5月は「セル・イン・メイ(株は5月に売れ)」という米国の投資格言にもあるように、株価が乱高下しやすい時期。
ロシア・ウクライナ戦争やインフレによる長期金利上昇を受けて、ジェットコースターのような株価の乱高下が続きそうです。
特に世界的な株高のけん引役になってきた「GAFAM(ガーファム)」と呼ばれる米国巨大IT企業5社の中では、メタ・プラットフォームズ(フェイスブックの親会社:FB)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)は成長鈍化懸念で株価が高値から4割から5割近くまで下落。もはや「成長株」といえない値動きになっています。
S&P500の組み入れ比率でもトップ3に君臨するアップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)、アルファベット(グーグルの親会社:GOOGL)の株価も同じように下落すると、世界最強だった米国巨大IT企業の株価にも陰りが見えてくるかもしれません。
一方、インフレが進んでいるにもかかわらず先進国で唯一金融引き締めに動いていないのが日本です。低金利で調達できる日本円を米国ドルなどの外貨に換えて、世界各国の金融資産に投資しようという動きが続いている限り、日本株は底堅く推移するかもしれません。
怖いのは、ロシアとウクライナの戦争や物価高による景気後退が懸念され、「リスクオフ」(リスクを回避する動き)の円高が進むとき。
ドル/円の為替レートにも十分注意しながら、波乱含みの5月相場を乗り切りましょう。