ずばり「良いアクティブファンド」の定義とは?

――続いてのご質問をご紹介します。

「良いアクティブファンドとは何か皆さまが考える定義を教えてください」

 というご質問を頂いておりますが、お二人が考える良いファンドの定義とは何でしょうか。また運用される方が違えば、それぞれのファンドに個性のようなものが出てくるのか?という点についても聞いてみたいと思います。

奥野 インデックスにただ勝つだけでなく、絶対的にリターンが出るということが大事だと思っています。加えて自分の運用するファンドでも意識しているところですが、受益者の方に「納得感」を持ってもらえるかどうかが重要と考えています。

 先ほどのディズニーの例で話をすると、新型コロナウイルスの影響でディズニーランドが閉まり、短期的には利益が落ちるかもしれませんが長期的には大丈夫だと考えている理由として、ディズニーランドというのはミッキーマウスが登場する一つのアプリケーションにすぎないからです。

 ファンドを運用するにあたって、ディズニーの強さの源泉は「ミッキーマウス」という誰しもがまねできないコンテンツっていうのがあって、それがいろんなところに出ているからディズニーは強いということを受益者の人にちゃんと伝えることができるかがポイントになります。

 ファンドマネージャーとして、実際に足を運び、自分の目で見てそれを伝える説明力と納得感のあるファンドが良いアクティブファンドだと考えます。そうでなければ、短期的に悪材料があれば投げ売ってしまい、長期投資なんてできませんからね。その行動の過程でファンドマネージャーにとっていろんな色が出てくるのではないかと考えます。

武田 私も奥野さんがおっしゃっていた通り、リターンは当然重要だと思います。リターンとは、毎年のリターンではなく、長年の中でどれだけのリターンを生み出せてきたか、ということです。

 また、他の運用会社の商品やインデックスとどれだけ違った形でリターンを出せたか、ということも重要です。他のファンドと同じような銘柄を保有して、同じようなリターンを出せたとしても、アクティブファンドマネージャーとしての付加価値は無いからです。

 そして3点目に、これも奥野さんがおっしゃっていた通りですが、なぜその会社に投資しているかを、保有者の方が分かるように説明できることだと思います。そういう意味では、私たちは月次報告書に非常に多くの時間を費やし、投資家の皆さまによく分かっていただけるような書き方を心掛けています。

 それから投資するにあたって魅力だけでなく、潜在的なリスクも含めてそれを上回るだけの価値があるからこそ、その企業のオーナーとして投資をするようにしています。

 日本という国は成熟経済であり、構造問題を抱えている中で、大型株の中でも成長性にバラつきがあるという話を申し上げましたが、日本株の銘柄選定では、やはり持続可能な成長性があり、ビジネスにおいては参入障壁があることが超過利潤をあげるうえで重要になってきます。

 とりわけ日本の場合はグローバルに活躍できる会社にそのようなチャンスがあると思っています。私たちが投資している企業というのは平均的に2008年の金融危機前のピーク利益から見ても2.5倍から3.5倍と着実に利益を増やしています。

 一方で、一部の成熟している日本の大型企業はこの14年間利益がほぼ横ばいか、成長してきたとしても4~5割程度しか伸びていません。これだけの時間がたつにつれて、かなりはっきり差が出てきていると思います。

 持続的に平均を上回る成長性を持った企業は今後15年間も参入障壁がしっかり形成されていますし、市場開拓余地というのもグローバルである分、まだまだ残されていると考えています。 

カリスマ的ファンドマネージャーが辞めてしまうと、ファンドはどうなる?

――それでは最後のご質問に移りたいと思います。

「ファンドマネージャーも所詮サラリーマンなので自身の評価を上げるための短期収益にこだわり、最適な投資行動をとらないという記事をみかけますが、実際はどうなのでしょうか。」というご質問です。

 確かにパフォーマンスになかなかコミットしないようなファンドが存在するというのも、アクティブファンドの選びにくさやネガティブなイメージにつながっている要因であると思います。御社ではパフォーマンスを上げるためにどういった運用体制を敷かれていますか。

 特にお二人のようなカリスマ的なファンドマネージャーがお辞めになった後に、このファンドのパフォーマンスはどうなってしまうのだろうと気になるお客さまもいらっしゃるかと思います。

奥野 最初に申し上げたみたいに私は自分が買いたくてオーナーになれる会社しか買いませんので、それをお客さまにも買ってもらっている状態なのです。ですから私はファンドマネージャーであると同時に受益者でもあります。加えて運用はチームで行っているので、どういう人をどのようなインセンティブを設定して採用し、そして勤めてもらうかを考える経営者でもあります。

 さらに私は農林中金バリューインベストメンツという会社の株主でもあります。このように、私はファンドマネージャー、受益者、経営者、株主という四つの顔を持っていて、全ては長期源泉投資のためだけに存在しています。ある意味これが私の人生であるというレベルまできています。

 私はまだ52歳ですから、かれこれあと数十年はやっていけるでしょうし、持続ができるようにチームアップしておりますので、この辺りはご心配いただく必要はないかと思っています。

武田 私たちが投資しているのは20銘柄にも満たないわけですが、日本の上場企業約4,000社から選び抜かれた銘柄群であると自負しています。それは私たちスパークスが創業してから30年以上にわたって抽出してきた企業群であり、私たち運用調査部の努力の結晶であると言えます。

 また、奥野さんと同じように、自身の運用戦略に私も投資しています。そういう意味ではファンド受益者と利害が一致していることになります。これも意識的にやっていることです。

 そして最後に一番重要なのは、運用会社が長期にわたって繁栄すると思われる会社の株を保有しているわけなので、これらの企業群が毎年利益を生み出して、そのキャッシュフローを自社内の本業に再投資していって、それがまた価値を生み出すというこのサイクルがビジネスの本源的価値であり、ビジネスの自己拡大のプロセスなのです。

 ファンドマネージャーの介在がなくとも、保有している私たちのビジネスが継続して価値を見いだしていくのは、誰がファンドマネージャーをやっていようとも継続していくものです。ですから、そこにファンドマネージャーの属人的なファクターが働くということはないと考えています。

――実際にお客さまからも、「ファンドマネージャーは自分で自分の商品を買っているのか?」というご質問があったのですが、お二人ともしっかり購入していらっしゃるというお答えでしたね。

 こういったお考えをお持ちのお二人が、実際にどのようなファンドを運用しているのか?と気になった方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。

▼奥野さんが運用しているファンド
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね

▼武田さんが運用しているファンド
スパークス・新・国際優良日本株ファンド

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