「新高値は買い」という投資格言

 投資格言の1つに「新高値は買い」というものがあります。また、米国で書かれた著名な投資家の本でも、新高値をつけた銘柄の買いが推奨され、著者自身がその手法により大きな富を得ているのです。

 一方、多くの個人投資家は、新高値になったかどうかを気にするというよりは、純粋にある程度株価が上昇したら持ち株を売っておこう、と考えているようです。

 それは、心理的な要因のほかに、「新高値=買い」の理由をよく知らないから、という面もあるのではないかと思っています。

 なぜ「新高値は買い」なのか? その理由は大きく2つあります。

 一つ目は、新高値をつけているということは、その株を買っている投資家が実際にいるということです。言い換えれば上昇トレンドが継続していることを表しています。いったん上昇トレンドになったら、そこからさらに株価が上昇する可能性が高いというのが経験則ですから、上昇の波が生じているのなら、素直にその波に乗って利益を伸ばすべきなのです。

 二つ目は、需給面での理由です。特に上場来高値更新銘柄は、株価が上昇しても上値にシコリがないため、上昇しやすい状態にあります。

 例えば、株価が1,500円まで上昇した後現在1,000円になっている株があるとします。この株は、おそらく1,500円近辺で買った投資家が多額の含み損を抱えています。彼らは、買値近くまで戻ったら持ち株を売却したいと思っているはずです。

 となると、現在1,000円の株が上昇する過程で、高値で買い付いた投資家からの売りが出てくるため、それ以上のパワーで株を買い上げなければ株価は上昇しないのです。

 ところが、上場来高値更新銘柄であれば、その株を持っている全員が含み益の状態ですから、高値づかみをして塩漬け株になっている投資家は誰もいません。したがって、株価が上昇するために必要なパワーが少なく済むため、上昇しやすいのです。

「高値づかみ」は回避!実践面での注意点は?

 ただ、高値更新銘柄を買えば必ず利益になるかといえば、そんなことはありません。買ったとたん株価が下落に転じてしまうこともあります。

 高値更新銘柄の買いで一番怖いのが「高値づかみ」です。実際株価はかなり高い位置にあるので、仮に業績悪化が表面化するなどして株価が下落に転じれば、あっという間に2分の1、3分の1と大きな下げになってしまう可能性も十分あるのです。

 ですから筆者は次の2点に注意して高値更新銘柄に投資するようにしています。

(1)25日移動平均線からのかい離が大きい場合は投資を控える

 移動平均線からのかい離が大きいということは、足元で急速に上昇していることを示します。株価が急速に上昇している場合、天井をつけやすく、そこから一転して急速に下落することが多いです。

 ですから、高値更新銘柄を見つけても、25日移動平均線からのかい離が大きい場合は、かい離が小さくなるまでは投資を控えるようにしています。

(2)損切りのルールを設定し、必ず守る

 高値更新銘柄は、もちろんそのまま上昇を続けることもありますが、逆に株価が天井をつける直前に買ったりするとまさに「高値づかみ」をしてしまうことになります。

 したがって、株価が買った後値下がりに転じたら早めに損切りをして、損失が拡大しないようにする必要があります。筆者であれば25日移動平均線割れで売却するようにしています。

 新高値は買い、でも損切りルールはしっかりと順守する。これを実践できれば、株式投資の戦術が広がるはずです。

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