東証マザーズ指数、3カ月で45%下落

 2022年に入り、どんな銘柄に投資しているかによって個人投資家の投資成績は大きく異なっているのではないでしょうか。

 例えば、商社株や海運株、資源・エネルギー関連株、非鉄金属株などの株価上昇にうまく乗れた人であれば、今年の成績は悪くないでしょう。

 一方、成長株に投資して、損切りせずに我慢して持ち続けてしまった人は悲惨です。成長株の動きに連動する東証マザーズ指数は、2021年11月17日の1,189.00ポイントから今年2月24日の648.20ポイントまで、わずか3カ月で45%も下落しました。

 個別銘柄も大きく下落。株価が2分の1、3分の1、中にはそれ以上の大きな下落となった成長株も珍しくありません。

 筆者も昨年は成長株を中心に投資していましたが、25日移動平均線割れで売却するというルールを徹底していたので、多少のダメージはありましたが無事切り抜けることができています。

 しかし、成長株に投資した多くの個人投資家が、多額の含み損を抱えた塩漬け株に苦しんでいるのが実態です。

利上げ局面で成長株が下がり続けるわけではない

 でも、現時点で塩漬け状態になった成長株を持っていないという場合、逆にここまで大きく株価が下落したわけですから、これから買うのであれば良い買い時なのではないかと感じている方も多いのではないでしょうか。

 特に、今年に入ってからは米国10年物国債の利回り上昇に引っ張られるように、成長株の株価が下がり続けたのは確かです。

 その一方、株価下落により成長株のPER(株価収益率)は大きく下落し、値ごろ感が出てきたのも事実です。

 確かに金利上昇は成長株にとってはマイナスです。でも、金利上昇のマイナスを株価下落で織り込んだとすれば、業績が伸びているのは確かなのですから、再び上昇軌道に復帰する可能性は大いにあります。

 また、足元では米国10年物国債の利回りが再び低下していて、これは成長株にとって追い風となります。

「安くなったから」という理由だけでは危険

 では、何も考えずに安くなった成長株に投資してよいのかといえば、決してそんなことはありません。

 成長株の中にも強い銘柄と弱い銘柄があり、強い銘柄は2月24日にマザーズ指数が安値を付けた後にしっかり反発しています。しかし、弱い銘柄は先週3月4日の株価急落などにより25日移動平均線を割り込んだり、底割れしてしまっています。

 多くの個人投資家が、まさか3カ月でマザーズ指数が45%も下落するとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

 でも過去を振り返れば、例えば2007年10月から2008年10月の1年間で、マザーズ指数はおよそ74%の暴落となりました。2008年のリーマン・ショックの影響ももちろんありますが、リーマン・ショックの暴落の前に、すでにマザーズ指数は50%ほど下がっていました。つまり、大きく下がった後のダメ押しの下落というのも念頭に置く必要があるのです。

 ですから、少なくとも株価が下がっている間は安易に手を出さず、株価が下げ止まって25日移動平均線を超えたら買い、割れたら即座に売却するなどのルールを設定した方が安全です。

注意!下落したその銘柄、本当に割安?

 成長株は、将来の業績の伸びに期待して株価が大きく上昇します。ということは逆もしかりで、業績の伸びが鈍化したり、業績が悪化すると株価は大きく下落することになります。

 このたびの成長株の株価下落により感じたことは、「株価下落した成長株の中に、業績の伸びが鈍化したり、業績が悪化した銘柄が相当数含まれているのでは?」という点です。

 そしてこれはあくまでも筆者の推測の域を出ませんが、業績が悪化した銘柄ほど、株価の下落率も大きくなっているように感じます。

 つまり、昨年秋の時点では成長株として高い評価を受けていても、今の段階では業績悪化により成長株とは呼べなくなってしまっている銘柄が結構あるはずです。

 ですから、「この銘柄は成長株だ!」と自分自身で思っていても、実は現時点ではそうではない場合、株価が直近で大きく下落していても、割安になったのではなく、高成長期待が剥がれ落ちたための株価下落という可能性が高くなります。

 従って、成長株の株価が大きく下がった後の反発局面を単に狙うのではなく、現時点でも業績の伸びが衰えていないものの、他の成長株の下落に引きずられて大きく下がってしまったものを見つけるよう、心掛けるようにしましょう。「会社四季報」や決算短信などで、投資候補としている成長株の業績をアップデートすることはとても重要です。

 やはり、長期的にみれば大きく株価が上昇するのは成長株です。成長株が大きく値下がりした今だからこそ、業績の伸びが今後も期待できる成長株を見つけ、上昇トレンドになったのを確認して買うというのは有用な戦術の1つとなるはずですし、筆者も実際そのように行動していくつもりです。

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