オミクロン株の猛威と民主党の分裂
来年はこの材料に加えて、新型コロナウイルスの感染再拡大や強力な感染力をもつオミクロン株の猛威によって、コロナウイルスの材料も再び注目が高まりそうです。
ロックダウンが始まったオランダをはじめ、欧州各国の感染者は過去最多となっており、英国も同じような環境であることから、英利上げ後は、英>米>欧>日の順で通貨の強弱がみられましたが、来年は、2、3回の利上げが期待される米国が一強となりそうです(米>英、欧、日)。
ただし、米国でコロナ感染が急増しないという前提です。オミクロン株の感染急増によって感染者が急増すると、相場は米国の利上げ要因とコロナ感染要因との綱引き相場になりそうです。
そして、もうひとつ来年の相場を左右する材料が出てきました。
ゴールドマン・サックスは、19日付のレポートで来年の四半期ベースのGDP(国内総生産)予測を下方修正しました。
理由は、民主党のマンチン上院議員が19日、1兆7,500億ドル規模の歳出法案を支持しないと表明したことを受け、法案成立が不透明となり、法制化されなければ、財政刺激効果は、予想よりもさらに若干大きなマイナスになるためと説明しています。
GDP予測は2022年第1四半期を+3%→+2%に下方修正しました。そして第2四半期も+3.5%→+3%に、第3四半期も+3%から+2.75%に下方修正しました。
また、金融政策については、FOMC当局者は何らかの歳出法案の可決を想定している可能性が高く、それが実現しない場合は来年3月に利上げ開始というゴールドマンの予想にも「リスクが生じる」と説明しています。
マンチン上院議員は法案可決の鍵を握っており、もし、法案が成立しなければバイデン大統領の看板政策にとって大きな痛手となるだけでなく、金融政策にも影響を与えると予想しています。そして当然のことながら、民主党内の分裂は、来年の11月の中間選挙にとっても大きなマイナス材料になるのは間違いありません。
今年のドル/円は強い陽線で終わりそうです。強い陽線は来年も円安が続くことを暗示しますが、今年の終わりになって、来年の相場の方向を左右する重要な材料が相次いで出てきたことから、はたして、来年はチャートが暗示するような方向に動くのかどうか、ますます注目度が高まってきました。
来年の想定シナリオとして、オミクロン株の猛威や景気減速によって米国の来年の利上げは後倒しが続き、年半ばには11月の米中間選挙をにらんだ動きが加味されることによって、結局、利上げは実現しないというシナリオも想定の中に入れておく必要がありそうです。