2.米国では住宅相場がバブル化、インフレも高止まり 米国では、金融緩和の典型的な功罪とも言える「インフレ」が足音を大きくしている
図表2は、米国の住宅価格とCPI(消費者物価指数)の推移です(前年同月比)。米国の金融政策決定の場であるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、インフレの状況がモニターされており、元々は低迷していたインフレ率を2%程度に押し上げることを目標に金融緩和を続けてきました。
しかし、足元のCPIは5%程度に跳ね上がっており、逆に、「いつ2%に下がるのか?」という点に注目が移っています。ただ、FOMCでは、「インフレ率の上昇は一時的」というのが公式見解であり、マーケットはあまり警戒していないようです。
一方、今回、問題視したいのが米住宅価格の動向です。過剰な金融緩和とテレワークに適した大きな家が欲しいなど、複数の要因が重なって、足元では前年同月比で+20%というすさまじい値上がりをしています。
図表2にあるように、今世紀に入って最高水準の値上がりであり、米国内では住宅価格が高すぎて家を買うことができなくなりつつあるという市民の不満が高まっています。
米国の金融当局(FRB=米連邦準備制度理事会)としても、CPIなどの総合インフレは一時的として、それほど懸念していないものの、このような住宅相場のバブル状態に関しては「一時的」とは言っておらず、今後の姿勢が注目されると思います。