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市場の波乱材料?:12月大手証券会社決算
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

市場の波乱材料?:12月大手証券会社決算

2008/11/10
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーとして活躍する堀古英司氏による米国市場レポート「ウォール街から~米国株の魅力~」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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今夏以降、講演会や運用報告会で申し上げてきた事ですが、私はアメリカの株式相場は10月半ばか12月半ばに安値を見る可能性が高い、と考えてきました。今年の主要株価指数の動きを見てみますと、決算がピークに達するタイミング(特に1月半ば、7月半ば)に向けて大きく下落している事が分かります。最近の市場は決算発表を非常に怖がっているのです。その意味では毎年恒例の投資信託の決算、税金対策の売りとも重なり、決算ピークをむかえる10月半ばに向けて株価が下落すると予測するのはそれほど難しい事ではありませんでした。実際10月は第二週、第三週、第四週といずれも下値をトライしましたが、今の所はそれが安値となっています。

そして今、次の関門となる12月半ばを意識しなければならないタイミングに差し掛かっています。私が12月半ばと申し上げてきた大きな理由は大手証券会社(投資銀行)の決算が予定されているからです。米財務・金融当局が「麻薬」に手を出した理由(2008年09月22日)では詳しく記しませんでしたが、10月初めのNYタイムズ紙でこの時、大手証券会社2社が流動性危機に陥った様子が報道されました。最近「投資銀行のビジネスモデルは崩壊した」と言われますが、投資銀行でなくても、他己資本に頼った投資をしていて、その他己資本が電話一本で引き出せる状況にあれば危機が訪れるのは当然です。実際NYタイムズ紙には9月18日、これら証券会社にファンドによる資金引き出し要求が相次ぎ、当日夜以降、米国財務・金融当局が「麻薬」に手を出すきっかけになった、その背景が克明に記されています。

市場が12月の証券決算を怖がると思われる理由は3つあります。第一に今年、市場が特に混乱したのも3月と9月、いずれもベアスターンズ、リーマンブラザーズといった大手証券会社がもともと決算発表を予定していた直前のタイミングでした。第二に、12月に発表される決算は年に一回の本決算であるため、監査を通す必要があります。従ってこれまでよりも厳しい資産の査定が行われる可能性が高いと見られます。第三に、この決算は9-11月期という、これまでの所金融市場が大混乱の時期であったため、そもそも良い決算が発表される可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

確かに金融市場が正常な状態であれば、少々の損失が出ようと吸収する事は可能でしょう。しかし現在の金融市場は極めて脆弱で、例えば決算をきっかけに格付け会社が当該証券会社の財務格付けを引き下げ、資金調達に支障をきたすような事になれば、再び大きなシステムリスクに発展しかねません。金融安定化法案があるとはいえ、保険会社AIG、自動車大手GMをはじめ、これだけ巨額の資本注入を要しかねない企業が次々と現れてくる状況においては市場の不安感が高まるのは当然の事でしょう(連銀が実施しているCP買取も格付け制限があります)。

幸い、証券会社が保有する資産の多くは時価評価されています。時価評価というのは、現在のような状況においては、将来予想される損失が現在価値に引き直されて前倒しで計上されているという事です。その時価評価が監査を通ったものとなれば投資家の安心感はかなり違ったものになると予想されます。これまで困難であった資本増強も比較的容易になるでしょう。12月の証券決算は市場にとって大きな懸念材料ではあるものの、それは金融危機の回復に向けて経験しなければならない「産みの苦しみ」のように見えます。

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