アイシン(7259・東証1部)

▼どんな銘柄?

 トヨタ自動車系列の自動車部品大手企業です。トランスミッションやエンジン周り部品などのパワートレイン領域、ブレーキやステアリングなどの走行安全領域、ドアやシートなど車体領域、カーナビやセンサーなど情報・電子に至るまで幅広く扱っています。

 2019年には、電動化の普及に向けた駆動モジュール開発・販売へ向けデンソーと合弁会社を設立しています。2021年4月にアイシン精機とアイシン・エイ・ダブリュが合併しています。

▼業績見通し

 2021年3月期営業利益は1,453億円で前期比2.6倍の水準となりました。年度前半の自動車生産減少の影響から売上高は減収となりましたが、構造改革の効果や前期一過性損失の反動などで収益は拡大しました。

 2022年3月期は2,200億円で同51.4%増益の見通しです。年間配当金も前期比50円増の170円を計画しています。

 自動車生産回復による国内外での売上拡大、原価改善やブレーキ事業再編効果などを想定しているようです。比較的業績計画は保守的ともみられているようです。

▼ここがポイント

 電動化普及によるマイナスインパクトへの警戒感は残りますが、足元でのトヨタ自動車やデンソーの株価モメンタムと比較すると、やや出遅れ感も意識されるところです。PBR水準も1倍を大きく割り込んでいます。

 会社側では2030年度にパワートレイン、走行安全、情報・電子など関連領域売上における電動化商品売上構成比を50%以上にすることを目標としていますが、具体的な道筋が見えるに伴い、水準訂正の動きが続くものと考えます。

エレマテック(2715・東証1部)

▼どんな銘柄?

 電子材料や部品の専門商社で、2009年に高千穂電気と大西電気が合併して発足しました。2012年にTOB(株式公開買付け)を実施した豊田通商の連結子会社となっています。

 仕入れ先は約6,800社で、販売先は約6,600社、地域別では日本が過半を占め、海外は中国、アジアなどが中心です。

 2021年3月末段階での拠点数は65拠点です。軸足をスマホから車載やロボット、医療関連などへシフトさせています。

▼業績見通し

 2021年3月期営業利益は54.6億円で前期比14.6%増益となりました。年間配当金も32円から36円に増配しています。

 新規顧客開拓による電子部品向け部材、商品拡充によるゲーム関連部材、ドライブレコーダーなどの販売が好調だったもようです。2022年3月期は65億円で同19.0%増益の見通しです。

 年間配当金は43円にまで引き上げる計画となっています。主に自動車向けの販売回復が収益増加要因になるとみています。

▼ここがポイント

 もともと電子材料や電子部品の専門商社であるため、自動車の電動化に伴うビジネスチャンスの拡大期待は高まりやすいものと考えます。中期計画では2024年3月期経常利益90億円を目指しており、当面の収益成長の確度が高いことも安心感につながります。

 親子上場解消の動きが強まる場面では、同社にもグループ再編思惑などはストレートに高まりやすいともみられます。