2.ワクチン接種の遅れが原因なのか、日本株の劣位が目立つ 3月半ばまでは先頭を走っていた日本株だったが

 昨年の米大統領選挙が行われた11月初頭以降、世界の株式市場は急上昇し始めました。

 きっかけは、ワクチン開発に関する明るいニュースが次々と発表されたことで、ワクチンによって世界中で行われている行動制限が解除に向かい、徐々に経済が正常化に向かうだろうとの期待先行の動きでした。その後、年末年始ごろから実際にワクチン接種が始まり、経済正常化への期待は一層高まりました。

 世界の経済正常化期待の恩恵を最も受けた株式市場の一つが日本株式市場でした。コロナ禍での"STAY HOME"局面ではあまり目立った活躍ができなかった日本企業ですが、経済再開となると自動車会社を筆頭とした製造業の市場ウエートが高い日本株は格好の物色対象となり、下図の②の時点では主要国で先頭を走っていました。しかし、②の3月中旬以降、他の主要市場が続伸している一方で、日本株だけが低調に推移し、現状③に至りました。

 日本株だけが低調に推移している要因は、ワクチン接種が他国に比べて大幅に出遅れたことが原因と考えられています。

 次のページの図表3で業種別パフォーマンスを見ていますが、ワクチン接種が遅れ、緊急事態宣言などの行動制限が長引き、内需がなかなか回復しそうにないと思われていることが足を引っ張っているようです。

[図表2] 各国株価指数の推移

期間:2020年10月30日~2021年5月26日、日次
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成