最近、米国株式相場が原油価格の騰落に振り回される展開が続いています。1バレル100ドル前後であった原油価格の急落が始まったのは2014年秋からですが、このように原油価格の下落が米国株式相場に影響を及ぼし、連動するようになったのは2015年に入ってから、原油価格が一旦50ドル近辺にまで下落してからの話です。
歴史的には、原油価格の急騰によって株式相場が下落するという、今と逆のパターンは数多く観測されます。というよりも、オイルショック時を含め、戦後起こったリセッションの前には必ず原油価格の急騰が起こっており、むしろ原油価格と株式相場は逆相関の関係にあるというのが通常のパターンでした。車社会であるアメリカでは、ガソリン価格の上昇が実質所得を引下げ、経済の約7割を占める個人消費が打撃を受けることによってリセッションが起こるという、いわば経済原理からして当然の結果につながっていたのです。
市場は短期的には需給がエラーを生み出すことが多い一方、長期的にはそれが修正されるはずであり、その点ではこの、経済原理からして不思議な原油価格と株式相場の順相関が1年以上も続いているというのは、大きなミステリーです。今ではメディア等でも「原油価格の下落が嫌気され株価下落」などと当然のように報じられていますが、納得できるロジックの説明を殆ど見たことがありません。
しかし私はやはり、原油価格と株式相場の順相関は短期的な市場のエラーであり、早晩経済原理に沿った逆相関、即ち原油価格の下落を株式相場が好感する関係に戻ると考えています。そうだとすれば今後、時間を利用した裁定によって、米国株式投資に非常に有利な展開になるはずです。