2.世界で稼ぐ米国企業 米国大手企業は米国以外の国や地域で全体の4割以上を稼いでいる

 では、実際の米国企業の地域別売上高を見てみましょう。図表2はS&P500株価指数の時価ウェイト上位銘柄(バークシャー・ハサウェイを除く)の米国以外での売上高比率を見たものです。アップルやマイクロソフトなどの大手ハイテク企業、J&JやP&Gといった生活必需品企業の比率を見ると、半分程度を米国以外から得ていることが分かります。特に目立つのが、半導体のエヌビディアやインテルといった製造業で、実に8割程度を米国以外から稼いでいます。

 米国の大手企業はこのように米国以外での事業規模が大きく、他国経済を取り込むことで、米国経済以上のペースでビジネスを拡大していることが見て取れます。図表2の企業の単純平均で約43%を米国以外から稼いでいます。

 また、大手企業でも米国以外の売上高比率が少ない企業も存在し、米国内の医療保険制度を事業基盤に置くユナイテッド・ヘルスは米国以外の売上高がなく、映画のウォルト・ディズニー、小売りのホーム・デポやウォルマートが10~20%程度です。こうした企業が将来的に米国以外のビジネスを拡大する可能性もあり、まだまだ伸びしろはありそうです。

[図表2] S&P500時価ウェイト上位銘柄の米国以外での売上高比率

決算期:2020年度決算
時点:2021年3月30日時点でのS&P500株価指数の時価ウェイト上位銘柄の米国以外での売上比率(明確な地域別売上高データが無いバークシャー・ハサウェイ社を除く上位20社)
※印は、カナダなどを含む米州以外の売上高比率
​(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成