貴金属や穀物の商品価格は上昇継続、1月の生産者物価指数は前月比+1.3%

 この予測を見ると、消費者物価指数、PCEデフレータともに4月、5月に2%を超えたとしても、7月にはいずれも2%以下となっているため、物価上昇は一時的なようにも見えます。ただし、足もとでは銅、アルミニウムの貴金属、原油、小麦、大豆、とうもろこしといった穀物の商品価格の上昇が止まらず、2月に入っても上昇を続けています。

ダウ・ジョーンズ・コモディティ指数の推移(2019年1月~2021年2月)

出所:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスのデータを基にマネーブレイン作成

 もう1つ、消費者物価指数の先行指数と言われている生産者物価指数もみておきましょう。

米国生産者物価の推移(2019年1月~2021年1月)

出所:米労働省労働統計局

 1月の数値は前月比+1.3%となっていて、今後の消費者物価指数の上昇を予想させるものとなっています。

 パウエルFRB議長は、1月に「テーパリング(量的緩和策における金融資産の買い入れ額を徐々に減らしていくこと)について話しをするのは時期尚早。必要な時期がくれば事前に周知する」、2月10日には「物価上昇はあっても一時的だ」とコメントしています。このことが、量的緩和は続くとの見方をもたらし、さらなる商品価格の上昇、米国長期金利の上昇につながっているようにみえます。

 実際に物価が上昇してきたときに、事前に周知する期間は本当にあるのか、そのときでも一時的と言い続けているかもと考えると、結果としてFRBの対応が後手後手に回ってしまい、度を超えた物価上昇と、金利の上昇を招いてしまう可能性もあるのではとみています。

 いずれにしても、米国の物価動向、長期金利の動向についての注目が高まってきているので、物価上昇が一時的なものになるのか、引き続き注視していきたいところです。

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