買い手として、日本銀行の存在がどんどん大きくなっている

 日経平均の短期的な動きを決めているのは外国人ですが、年間を通じて、日本株を買い続けている、最大の買い手は日本銀行です。以下、2017~2020年の主体別売買動向を参照ください(株式現物の売買のみ。日経平均先物の売買は含まれていない)。

主体別の日本株売買動向(買越・売越が大きい上位3主体):2017年~2020年

注:日本銀行は直接日本株を買っているわけではない。上記に記載しているのは日本銀行のETF買付額。日本銀行が買い付けるETFを組成するために、証券自己部門や信託銀行などが日本株を買い越す。プラスは買い越し、▲は売り越しを示す。2020年の買い越し第2位に信託銀行が入っているがほとんど日本銀行のETF買いに伴うものと推定されるのでランキングに含めなかった) (出所:日本銀行のETF買付額は日本銀行、その他は東京証券取引所「二市場一・二部 投資部門別売買状況」

 2017年から2020年まで、毎年、最大の買い手は、日本銀行(ETF買い付け)です。次が、事業法人です。事業法人の買いは、主に自社株買いです(TOB・株式公開買い付けの買いは含まれません)。

 日経平均が高値を取ったり、安値をつけたりするのは、ほとんど外国人の売買によるものです。ただし、年間を通じた売買高は、必ずしも大きくはありません。
 日本銀行は、日経平均が上昇した日は買わず、下落した日に買う傾向がきわめて顕著です。したがって、集計すると、毎年最大の買い主体ですが、日経平均が高値を取る時の買い主体ではありません。

 結果的に、買い越し額は小さくても、外国人が日経平均の動きを決めていたことに、変わりありません。

 毎年、巨額の売りを出しているのが個人投資家【注】です。

【注】個人投資家の売り越し額
実際の売り越し額は、ここまで大きくはありません。個人投資家が、新規公開株を引き受けて、上場後に売却した場合、統計上買いはカウントされず、売りだけがカウントされます。上の表に出ている売り越し額から、個人投資家が新規公開株を引き受けた金額を差し引いたものが、本当の売り越し額となります。

 投資信託は日経平均が下がった2018年は買い越しですが、それ以外の日経平均が上昇した年は売り越しとなっています。主に個人投資家の解約売りです。

 銀行・生損保も毎年、日本株を売り続けています。これは、法人間の株式持合いを解消するための売りで、相場動向にかかわらず、毎年、計画的に売りを続けています。