外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株
昨年、2020年11月以降、日経平均株価が急騰しましたが、外国人投資家の買いで上昇したことがわかっています。12月は外国人の買いが減少したので、日経平均の上値は重くなりましたが、12月最終週(12月28~30日)に外国人の買いが再び増加すると、日経平均は大きく上昇しました。
年初の1週間(1月4~8日)の日経平均は大幅に続伸しました。外国人の買いが続いていたと考えられます。ところが、昨日(1月12日)の日経平均は25円高の2万8,164円と小動きでした。外国人の買いが減少したと考えられます。
それでは今後、日経平均は上値が重くなるのでしょうか、あるいは、さらに上値をとっていくのでしょうか?外国人の買いが減少すれば上値が重くなるし、外国人の大幅買い越しが続けば、上値を取っていくことになるでしょう。
要するに、いつもお伝えしている通り、日本株は上がるも下がるも外国人次第ということです。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年1月12日(外国人売買動向は2020年12月30日まで)
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2018年1月4日~2019年12月30日
このように外国人が日本株を動かす状態が、30年間、続いています。つまり、1990年以降、日本株は外国人が動かすようになりました。1989年12月に日経平均が史上最高値3万8,915円をつけるまでの上昇相場では、日本人が日本株を動かしていました。
買い手として、日本銀行の存在がどんどん大きくなっている
日経平均の短期的な動きを決めているのは外国人ですが、年間を通じて、日本株を買い続けている、最大の買い手は日本銀行です。以下、2017~2020年の主体別売買動向を参照ください(株式現物の売買のみ。日経平均先物の売買は含まれていない)。
主体別の日本株売買動向(買越・売越が大きい上位3主体):2017年~2020年
2017年から2020年まで、毎年、最大の買い手は、日本銀行(ETF買い付け)です。次が、事業法人です。事業法人の買いは、主に自社株買いです(TOB・株式公開買い付けの買いは含まれません)。
日経平均が高値を取ったり、安値をつけたりするのは、ほとんど外国人の売買によるものです。ただし、年間を通じた売買高は、必ずしも大きくはありません。
日本銀行は、日経平均が上昇した日は買わず、下落した日に買う傾向がきわめて顕著です。したがって、集計すると、毎年最大の買い主体ですが、日経平均が高値を取る時の買い主体ではありません。
結果的に、買い越し額は小さくても、外国人が日経平均の動きを決めていたことに、変わりありません。
毎年、巨額の売りを出しているのが個人投資家【注】です。
【注】個人投資家の売り越し額
実際の売り越し額は、ここまで大きくはありません。個人投資家が、新規公開株を引き受けて、上場後に売却した場合、統計上買いはカウントされず、売りだけがカウントされます。上の表に出ている売り越し額から、個人投資家が新規公開株を引き受けた金額を差し引いたものが、本当の売り越し額となります。
投資信託は日経平均が下がった2018年は買い越しですが、それ以外の日経平均が上昇した年は売り越しとなっています。主に個人投資家の解約売りです。
銀行・生損保も毎年、日本株を売り続けています。これは、法人間の株式持合いを解消するための売りで、相場動向にかかわらず、毎年、計画的に売りを続けています。
需給面でもっとも注目される主体は、外国人で変わらず
短期的な日経平均の動きを決めているのは、外国人です。これからも外国人の売買動向をしっかり見ていく必要があります。
日銀のETF買いも、きわめて大きな存在です。黒田日銀総裁は、当分、買付額を減らす議論はしないと思われますが、将来、これを減らす議論が出ると、ネガティブにとらえられる可能性があります。
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