長期投資に向く投資商品
ところで、投信は「長期投資」に向く商品で、ETFは比較的、「短期投資」用の商品だと考える方がいます。しかし、実は投信とETFは、どちらも「長期投資に向いた商品」なんです。
確かに、ETFは自由に売買ができるため、「短期投資向けの商品」と捉えられがちですが、実はそんなことはありません。「短期投資向け」と思われる大きな理由の1つは、ここ最近まで日本国内で注目されてきたETFの多くが、レバレッジ・インバースやテーマ型等のETFでしたので、どちらかというと値上がりを狙って、短期的に売買されていたケースが多かったことに起因するようです。
しかし現在、日本の個人投資家の間で最も人気のある海外ETFの『VT』(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)は、世界中の株式の約8,000銘柄に幅広く分散投資を行う商品で、まさに長期投資に向いている商品です。
バンガードは投資哲学として4つの基本原則を掲げていますが、そのうちの1つは「分散」※です。「分散」とは、幅広い地域や資産クラスに適切な資産配分をして投資をしましょう、ということを意味していますが、リスクも分散できるため市場の変動に一喜一憂しなくても良いのです。
そして、分散投資を実現する海外ETFであれば、長期投資にも向いていると考えられます。大切なのは、投信・海外ETF問わず長期で分散する、という考え方です。この点は、投資家の皆様に是非意識していただきたいと思っています。
それぞれの「投資ニーズ」
投資商品を選ぶのにあたり、最も優先すべき点は、最終的に投資家の皆様の「投資ニーズ」を満たすかどうかです。バンガードの投資哲学の4原則の2つ目は「目標」※です。投資における「目標」とは、老後資金、子供の大学資金や住宅購入資金などといった現実的かつ、達成可能なゴールのことです。投資目標を最初に設定することにより、目標達成に向けた投資計画が立てられ、適切な投資商品が選びやすくなります。
※バンガード投資哲学の4つの基本原則は「目標」「分散」「コスト」「規律」です
具体的な例で考えてみましょう。30歳の方が老後の生活資金を貯めるために投資を始める場合、目標達成まで30年以上ありますので、長期的視点で投資方針や商品を選ぶことができます。一方で、同じ30歳でも、40歳までに住宅購入を目指している方の場合、スタートラインは同じであっても目標まで10年しかないため、比較的短いタイムラインに基づく投資計画で目標を達成しなければなりません。こうしたそれぞれの「投資ニーズ」によって投資の手法も変わってきます。
また、どのような口座から投資をするかも重要です。通常の証券口座やNISA口座からの場合は、投信でも海外ETFでも投資が可能ですが、つみたてNISA口座、企業型確定拠出年金口座やiDeCo口座などを活用する場合は投信に限られます。
漠然と「どの商品が良いのか?」という話ではなく、投資家の皆様それぞれの目標に合った商品を選んで投資をすることが非常に重要なのです。これらの点を踏まえて、投信と海外ETFをフェアな目線で検証していただき、ご自身の投資ニーズに合った商品をご活用いただければと思います。
執筆者:バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社インターミディアリー営業部長 三上和久