4:環境関連株や景気敏感株がアウトパフォームする
新型コロナウイルスの持続的な発生のリスクは欧米市場に重くのしかかっていますが、バイデン次期米大統領の野心的な気候変動問題への対策や、欧州のグリーンニューディールにより、クリーンエネルギーなどの環境関連産業がアウトパフォームすることが予想されます。
資本財・サービスや素材セクターなど、設備投資の回復に敏感なシクリカル(景気敏感)・セクターは、先送りされてきたテクノロジーのアップグレード需要の恩恵を受けるため、最も明るい見通しを持っています。これらのセクターは、世界的なリフレーションへの恩恵も受けると考えられます。
5:テクノロジー・セクター企業は2020年のようなパフォーマンスが継続するとは限らない
テクノロジー・セクターは、2020年のような好調なパフォーマンスが2021年も継続するとは限りません。当セクターは、ロックダウン期間中に小売りのオンライン化やリモートワークなどの巣ごもり需要の恩恵を受け、いわばコロナ時代の寵児(ちょうじ)として巨額の投資資金を集めました。しかし、現在、当セクターは、ピクテのスコアカード(注4)では一般消費財・サービスセクターに次いで最もバリュエーションが高いセクターとなっていて、バリュエーション面での暗雲が立ち込めてきています。
また、当セクターに対する規制監督の強化を求める声も高まっています。米国の議員は大規模な独占禁止法改革を提案しており、いくつかの企業が解体される可能性すらあります。
注4:ピクテ投信投資顧問の相対評価スコアカードは、PBR(株価純資産倍率)、株価収益率(12カ月先1株あたり利益)、株価収益率(長期トレンド1株あたり利益)、株価売上高倍率、株式リスク・プレミアムの平均値等に基づき算出される
6:緩和的な金融政策がつづく
2021年にパンデミックの影響から世界経済が大きく回復するとは予想していますが、GDP成長率の急回復があったとしても、先進国国債が急落(利回りは上昇)する可能性は低いと考えています。それは、中央銀行が不必要なリスクを取らないと考えているからです。
ECB(欧州中央銀行)もFRB(米連邦準備制度理事会)も、緩和的な金融政策を維持し、経済の自立的な回復を促すでしょう。ECBにとってそれは債券購入額の拡大と銀行への低金利融資の継続を意味し、FRBにとってはYCC(イールド・カーブ・コントロール)、つまり特定の利回り目標に債券利回りを固定することを危機対策に加えることを意味します。