今日は2021年の日経平均株価がどうなるか、私のイメージをお伝えします。

日経平均は、景気循環を少し先取りして動く傾向がある

 1年間の日経平均予測を作る時、私が最初に考えるのは、世界および日本の景気動向です。日経平均は、景気変動をおおむね半年~1年先取りして動く傾向があるからです。

 まず、近年の景気循環と日経平均の動きをご覧ください。

景気循環と日経平均の動き:2007年1月~2020年12月11日

出所:景気後退期の判断は内閣府、ただし、2018年10月に始まった最後の景気後退期の終了時期(2020年6月)は楽天証券の判断。内閣府はまだ終了時期を認定していない。また、2つの景気停滞期(2014年4~6月、2015年10月~2016年3月)は楽天証券の判断

 ご覧いただくと分かる通り、日経平均は、景気循環を少し先取りしながら動いています。以下、グラフ内にある3つの景気後退期と、景気停滞期を解説します。

【1】2008年2月~2009年3月:リーマンショック
 日経平均は景気後退期に入る約1年前にピークアウトして下げ始めていました。景気後退が終わるとほぼ同時に日経平均は急反発を始めています。

【2】2012年3月~11月:民主党政権下での不況
 2012年12月に安部元首相によるアベノミクスが始まってから景気回復、日経平均は急反発しました。

【3】2014年4~6月:消費増税による景気停滞
 日経平均は景気停滞期に入る前の2013年12月に高値をつけ、下げ始めていました。景気停滞は3か月と短く、停滞期に入ってからは次の景気回復を織り込んで日経平均は反発しています。

【4】2015年10月~2016年3月:チャイナショック、資源安ショックによる世界経済の停滞
 この時、中国・米国はじめ世界中の景気が悪化しました。景気後退すれすれまで悪化しましたが、景気後退期の定義は満たさなかったので、景気停滞期としています。日経平均は、景気停滞期に入る3カ月くらい前から下げ始めています。ただし、底打ち・反発の時期は、景気回復期に入った後でした。

【5】2018年10月~2020年6月:貿易戦争・コロナショック不況
 米中貿易戦争の影響で、世界的に製造業の景況が悪化し、2018年10月から日本は景気後退期に入りました。日経平均はそれとほぼ同時に下落を始めました。2019年末には一時景気回復期待が高まり、日経平均は上昇していましたが、20年に入りコロナショックで4~6月は戦後最悪の景気落ち込みに見舞われました。ただし、7月以降、世界景気は回復に入っている模様です。

 日経平均は、今年7月から始まり来年に続いていくと考えられる世界景気回復を織り込んで、4月から上昇し続けています。