オープンエンド型ファンドのデメリット

 重要な点は、バークシャー・ハサウェイが、最終投資家の意向に左右されることのない企業形態で投資を行うコングロマリット(複合企業体)であるということです。

 通常のオープンエンド型の(償還期限が定められておらずいつでも解約可能な)投資信託では、投資家は自らの判断、タイミングでファンドへの投資を出し入れします。つまり、景気が拡大し、相場が過熱しているような局面でファンドへの資金流入が増大し、逆に景気が減速し、相場が下落している局面でファンドから資金が流出する傾向があります。

 2008年リーマン・ショック時には、数多くの機関投資家や個人投資家が、投資信託から一斉に資金を引き揚げました。

 しかし、多くの人が悲観にくれる下落相場こそ絶好の投資機会であることも、2009年以降の10年間におよぶ相場上昇をみれば明らかです。ただ、多くの人はどうしても他の人たちの行動やその場の空気に流されてしまいます。

 もし、バフェット氏がオープンエンド型の投資信託を運用していたら、バフェット氏がどんなに確かな企業選択眼や価値評価手法を持ち、「悲観はあなたの友達、高揚感は敵」とコントラリアン(逆張り投資家)を鼓舞し続けたとしても、彼の買いたいタイミングでは手元に資金が無いばかりか、むしろ解約に備えて既投資案件から撤退せざるを得なくなります。