ひとりで生きぬくということ
――漫画の内容で特に描くのが難しい点、こだわっている点はありますか。
カレー沢:世の中全体があまり明るいとは言えないので、内容がどうしても暗くなってしまう。
でも暗いだけ、不安にさせるだけの漫画にはしたくないし、よりよい最期を迎えるためにどうしたらよいかという希望、考えるきっかけになるような物語にしようと思いました。
――たしかに、主題は重いですが、主人公鳴海の明るさもあり、現実を薄めて見ることができました。「『希望』への『投資』 一番ケチっちゃだめですよね」(第6話より)は希望でしかなかったです!
――第1話で主人公が婚活をはじめます。家族を持って、老後不安を解消して孤独死を回避しようと動きますが失敗。「『結婚すれば安心』は昭和の発想」(第1話より)という若いエリートから草を生やされましたね。
――不安が高まる中でも、推しメンへ「お布施」投資が止まらない主人公。どうなんでしょう?
カレー沢:自分の支出と価値観を一度見直した方がよいかなと思います。
他人から見たら浪費でも自分にとっては生きる気力になる出費は惜しむべきではない、でも「よく考えたら、これはそれほどいらないな」という出費もある。
自分にとって絶対必要なものと、それほどでもないものをはっきりさせておけば、無駄な出費はなくなる気がします。
――出費の抑制方法を考えなくてはいけないですね。オタクは義務感が高いので、推しメンへのお布施の前に「孤独死」をよぎらせて、客観的に見ていきたいですね。