1:1人のファンドマネジャーが運用するファンドは、基本的に1ファンドである?

解答:×

 運用会社の規模にもよりますが、ファンドマネジャーは通常、複数のファンドを同時に運用しています。というのも、運用会社では、個人向けの商品だけでなく、年金基金など機関投資家向けの商品も数多く運用しているからです。より厳密に言えば、ファンドマネジャーは個々のファンド単位というより、自身が担当する運用戦略単位で運用するファンドを抱えています。例えば、Aという運用戦略を担当しているファンドマネジャーは、同じ戦略を用いた個人向けと機関投資家向けの双方の運用を担う、というイメージです。

2:日本の投資家向けに展開されているファンドの運用は、日本に拠点を置くファンドマネジャーが行わなければならない?

解答:×

 先述した通り、ファンドマネジャーの仕事内容は基本的に万国共通です。日本の投資家向けに海外拠点のファンドマネジャーが運用を行うこともあれば、海外の投資家向けに日本拠点のファンドマネジャーが運用を行うこともあります。また、日本株は日本で、米国株は米国でそれぞれ運用を行わなければいけないといった、地理的な制約もありません。規模の大きい運用会社は、ロンドン、ニューヨーク、香港など地域別に拠点があり、各拠点でファンドマネジャーが運用を行っています。例えば、同じ日本株を担当しているファンドマネジャーでも、日本国内で日本株市場を見ているマネジャーと、海外から日本株市場を見ているマネジャーでは着目するポイントが異なることがあります。運用会社によっては、こうしたグローバルな視点を取り入れながら、世界中の投資家に運用商品を提供しています。

3:運用中のファンドであっても、途中でファンドマネジャーが交代することがある?

解答:〇

 ファンドマネジャーはあくまでも運用会社の一社員です。従って、異動や退社に伴って担当を外れるということはあり得ます。とはいえ、運用会社は投資家に対して受託者責任を負っていますから、肝心のファンドの運用に支障が出ないよう、さまざまな配慮を行っています。その一つが、チーム単位での運用体制の構築です。一般的に、投資信託の運用はチーム単位で行われます。「ファンドマネジャー」と一口に言っても、運用者としての経験値や経歴は異なります。また、ファンドマネジャーも人間ですから、運用のスタイルの他、得意な分野も違います。複数名の、経験値の異なるファンドマネジャーでチームを作ることにより、若手マネジャーの育成が可能になるだけでなく、各人の個性がよい方向に発揮されることが期待できるのです。