前回のコラムにて、逆張り・順張りのそれぞれのメリットおよびデメリットを比較してみました。そもそも「逆張り」と「順張り」とはその根底にある思考が全く異なります。皆さんは「株価」を信じますか?それとも「自分」を信じますか?

「順張り」と「逆張り」とで全く異なる買いタイミング

 例えば直近安値を割り込んだり、年初来安値を更新しているような銘柄があるとします。「順張り」の投資家であれば、そうした局面では絶対にこの銘柄を新規買いしません。なぜなら株価が明らかに下降トレンドにあるからです。積極的に利益を追求する投資家であれば、逆に空売りを仕掛けるタイミングととらえるかもしれません。

 一方、「逆張り」の投資家なら、喜んで直近安値割れや年初来安値更新の局面で新規買いする人も少なくないでしょう。なぜなら、狙っていた株を安く買うことができるからです。そこには直近安値割れとか、年初来安値を更新したという事実は関係ありません。

 このように、「順張り」と「逆張り」とでは、株を買うタイミングが全く異なります。なぜこのような両極端な2つのスタイルが存在するのでしょうか。それは、株式投資に対する根本的な考え方の違いに理由があると筆者は思っています。

「株価」を信じるか、それとも「自分」を信じるか

「順張り」を支持する投資家は、株式投資はマーケットの動きが全てという前提で考えています。つまり、どんな局面でも、その時についている「株価」が正しいと考え、それをもとに戦略を立てていくのです。たとえ、株価が自身の考えとは逆方向に向かっていてもです。したがって、順張りの投資家は常に「株価」を信じて行動しています。

 一方、「逆張り」を支持する投資家は、企業が本来有する企業価値を自分自身で分析してあるべき株価を計算し、それと足元でついている株価を比較します。その結果株価が割安なら、株価の動きにかかわらず新規買いをしていきます。つまり、自分自身の分析結果が正しいと考え、それをもとに戦略を立てていくのです。逆張りの投資家は、常に「自分」を信じて行動しているといえます。

株価も自分も頻繁に間違える

 このように、「株価」が正しいと考えて行動するのが「順張り」、「自分」が正しいと考えて行動するのが「逆張り」です。ところが難しいことに、実際の株式投資では、株価が間違っていることもありますし、自分の考えが間違っていることもあります。

 ですから、順張りの場合は株価が間違っていた場合の対処法、逆張りの場合は自分の考えが間違っていた場合の対処法をそれぞれ準備しておく必要があります。

 この点、個人投資家にとって圧倒的に対処しやすいのが「順張り」です。筆者の場合は株価チャートをみて、株価と移動平均線の位置関係から株価のトレンドを判断し、上昇トレンドとなっていなければ新規買いは行いません。仮に足元で株価が大きく下がっていること自体が間違っているのであれば、早晩株価は上昇に転じ、やがてトレンドも下降トレンドから上昇トレンドに転じてくるでしょう。この上昇トレンドに転じた時点で株価が間違っていたことが客観的に見て明らかになるので、新規買いをすればよいのです。

 そして、上昇トレンドになった銘柄を新規買いしたときは、その後株価が下がって下降トレンドに転じたら売却するだけです。