コロナ禍での優待投資

 ここ半年のコロナ禍において、優待投資はどうだったのか。外出ができず、経済活動が止まり、4-6月期の決算は軒並み減収減益。先日発表されたGDP(国内総生産)も年率27.8%減と戦後最悪のマイナス成長。有事の際は現金がいちばんと、財務強化に舵を切った企業も多くありました。

 そんな中、財務見直し対象に株主優待も組み込まれ、優待改悪、中止、廃止を発表した企業も。昨年は4月から8月まで優待廃止のIRを出した企業は約10社ですが、今年は約20社と倍の結果に。

 廃止はしないが、一時的に中止や優待額を減らすなど改悪に動いた企業を加えるとより多くなり、企業がコロナ禍を生き抜くためには株主優待も聖域ではないことが分かります。

 この傾向は今後も続くと見られ、特に影響の大きかった外食銘柄や交通、レジャー関連銘柄のIRには注意が必要だと思います。

 優待の種類では、自社製品や自社サービスを提供している企業は改悪が少ない印象。一方で、導入もしやすいが、廃止もしやすい、クオカードなどの金券銘柄、プレミアム優待倶楽部を出している企業のIRは改悪の傾向がありました。

 優待廃止や改悪を事前に知ることはかなり難しいですが、配当の有無、優待内容、株価に対して大盤振る舞いをしていないか、過去に優待改悪をしていないか、この辺りを注視してみると、危険アラート発生の予備知識になるかもしれません。

 優待廃止や改悪などの大きなニュースに当たってしまったら、運が悪かったと諦め、保有目的から外れてしまうので心を鬼にして売却し、次の銘柄に移ってもよいと思います。

 ただ、業績不振や全体的な株価の流れで下落してしまったらどうするか。私の場合せっかくじっくり選んだ思い入れの強い優待銘柄なので、優待の到着を楽しみに待っています。

「優待が来たらあれ食べよう」、「優待が来たら前から欲しかったのをカタログから選ぼう」とか。株価の下落は多少目をつぶって、楽しみを優先するのは精神衛生上もよいのです。

 優待株は長期で持っていれば持っているほど、インカムゲインで継続的な収入が得られます。

 そういった意味でも、優待銘柄を選ぶ際にはじっくり長く付き合えるか考えるのが大切です。また、気になっていた銘柄の株価が下がってきたら、思い切って買うのもあり。下落が特別な理由であるならば、それが解決した時に上昇する可能性が高い。今回のコロナ・ショックでも、3月の下落時から現在の株価の戻りは皆さんコロナが終息すると信じ、また日常が戻ってくるとこの先を見越しているわけで、希望の列車には乗っておいた方が明るい未来が待っている気がします。