移動平均線からのかい離が大きくなれば「リバウンド狙い」の買い
- (買いタイミング③)上昇中の株価が調整したものの、上昇中の移動平均線を下回らずに再び上昇した場合
⇒移動平均線を下回らずに株価が反発した場合、上昇トレンドが継続していると判断できます。そのため、格好の押し目買いのチャンスとなります。底値圏で買いそびれた場合や、すでに保有している株を買い乗せするのに適したタイミングです。
- (買いタイミング④)移動平均線が下落しているが、株価が急速に下落して移動平均線から大きくかい離した場合
⇒これはいわゆる「リバウンド狙い」の買いです。トレンドは明らかに下向きなのですが、移動平均線から大きくかい離した場合、移動平均線へ戻るように株価が反発することがよくあります。株価が売られ過ぎの状態からの自律反発を狙うものです。
下降トレンドに転換してしまうかもしれない局面での買いはリスクが高い
ただし、上記のうち②および④のタイミングは注意が必要です。
まず、②についてです。図表のように、すでに過ぎた期間の株価チャートをみて後講釈をするのであれば確かに買いシグナルといえます。でも、実際にこのような状況に遭遇したとき、このタイミングで買っていってよいかといえば、そうとはいえません。
株価が移動平均線を割り込んだものの、移動平均線自体は上向きになっている場合、そこから株価が反発して上昇トレンドが継続する場合と、株価が反発せず軟調に推移して下降トレンドに転換してしまう可能性があります。
ですから、②のタイミングで買い向かうのはややリスクが高いのです。筆者なら、②のタイミングではなく、②の状況から反発し、再度移動平均線を超えたタイミングで新規買いをします。つまり、上昇トレンド継続が明確になるのを待ってから買うのです。
こうすれば、②のタイミングで買うより失敗は少なくなるはずですし、移動平均線割れないしは直近安値割れで損切りとすれば、損切りポイントも明確になります。
リバウンド狙いは「言うは易し、行うは難し」
また、④についても「言うは易し、行うは難し」で、筆者個人的にはあまりお勧めするタイミングではありません。
確かにグランビルの法則のとおり、株価が急落して移動平均線とのマイナスかい離が大きくなった場合、そこからのリバウンドが期待できます。ところが実際にどこまで株価が下がったらリバウンドが始まるのかは、事前には分かりません。
リーマン・ショックのときのように行き過ぎた下落となれば、リバウンド狙いで買ったはずが、そこからさらに30%、50%も下落することもあり得ます。そこまで極端でないとしても、リバウンド狙いの買いを行うタイミングを1日~2日誤るだけで、10%~20%程度の株価下落は頻繁に起こります。
筆者は、株価が下落している途中に買い向かうことはよほどのことがない限り行いません。もし④の法則に従ってリバウンド狙いの買いを入れるにしても、明確な損切り価格が設定できるよう、株価が少し(3~5%程度)反発してから買うとか、5日移動平均線を超えるのを待って買うなど、少しアレンジした方法を取ります。
次回は、売りタイミングとその注意点について解説していきます。