日本にいると、あるいは日本国内のことしか見ていないと、どこもかしこも人手不足と言われているので、むしろ人口が減少しているという印象を受けます。しかし、世界に目を向けると、人口は今後、爆発的に増えていくことは自明の事実です。

 しかも、中国をはじめとして新興国の経済発展にともなって、特に中産階級の人口が大きく増えていく見通しです。コカ・コーラのような清涼飲料水は、中産階級人口が増えることによって需要が高まります。つまり中産階級になれば、コカ・コーラが飲める程度にお金の余裕が出てくるということです。その中産階級人口が、世界の総人口よりも速いペースで増えると予測されているので、コカ・コーラの市場はこれからさらに拡大していくと考えられるのです。

「そんなことを言っても、清涼飲料水のメーカーなんてたくさんあるから競争が激しいのでは?」と思う人もいるでしょう。それも、日本しか見ていないからです。確かに日本では、たくさんの飲料メーカーが炭酸飲料をつくっていますが、海外に行くとコカ・コーラとペプシ・コーラがほとんど寡占していて、他に炭酸飲料があったとしても、せいぜいドクターペッパーが少々、というのが現実です。

 これが何を意味しているのかというと、今更、コカ・コーラの向こうを張って炭酸飲料の市場に参入しようとしたら、生産設備と販売網構築への投資、加えてブランド構築のための広告宣伝費等が莫大にかかるということです。コカ・コーラの牙城を崩すにはあまりにも莫大な資金が必要で、まるで商売にならないということです。まさにコカ・コーラは完ぺきなまでに参入障壁を築き上げた会社といっても良いでしょう。

 これだけ高い参入障壁があると、たかだか炭酸入りの砂糖水でも、新規参入者はほぼ現れません。世界人口は2100年までを見通しても、まだまだ増えていきますから、コカ・コーラの利益はこれからも長期的に増えていくという蓋然(がいぜん)性を持つことが出来ます。

 長期的に株価は利益に連動しますから、人口増加によって利益が増え続けるとしたら株価も長期的に上昇していくと考えられます。だからウォーレン・バフェットは、コカ・コーラの株式を持ち続けられるのです。

<『ビジネスエリートになるための教養としての投資』より抜粋>

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