相場低迷時の割安株、含み資産でM&Aが期待できる株を狙う

 成熟産業や斜陽産業と呼ばれる分野の企業で人知れずシェアを伸ばしていたり、M&Aで事業を拡大している企業が、かぶ1000さんが狙う主な割安株のターゲットとなる。

 土地の含み資産が豊富で外部の投資ファンドなどが株を買い占めそうな会社(例:不動産・ホテル事業のユニゾホールディングス・現在上場廃止)、成長性のある事業を新たに手掛けて復配しそうな企業(例:中古車買い取り・輸出のアップルインターナショナル・2788)などを、貸借対照表やキャッシュフロー計算書から丹念に探していくことで、1銘柄1,000万~3,000万円もの利益をモノにしてきた、かぶ1000さん。

「割安株の場合、普段は値動きも小さいため株価の変動率も小さいですが、業績や保有資産への注目が集まるなど、何かをきっかけに急騰することもあるので、そのタイミングを逃さずに利益確定することも大切です」というように、売り時も大切だ。

 そんなかぶ1000さんが発掘したテンバガー(株価10倍株)は、「底地」と呼ばれる土地開発のみに特化した不動産デベロッパーの日本商業開発(3252)

「2011年7月に名古屋証券取引所が主催するIRエキスポで取締役の方と2時間ぐらいお話しして、そのビジネスモデルに感銘。IPO直後、初値から4分の1まで下落したところで購入しました。その後、株価が10倍になる過程で少しずつ売却し、2013年4月に株価10倍になった時点ですべて売り切りました。しかし、株価はさらに上昇を続け、最終的に買値より100倍以上になっています」と振り返る。

 相場が低迷しているとき、成長期待のある割安株を買えば、100倍ものリターンが得られる可能性もあるのが、株式投資の醍醐味。それは東日本大震災後の2011年も、コロナ・ショックに見舞われた2020年の今も同じだ。

 土地の含み益がたくさんある株として投資を開始したオフィスビル賃貸やホテル事業のユニゾホールディングス(現在上場廃止)では、2019年5月に大手旅行会社エイチ・アイ・エス(9603)が筆頭株主になったことで、すかさず買い増し。同社のTOB表明で株価が急騰し、1,700万円以上の利益を得て利益確定した。

「その後、エイチ・アイ・エス以外の外資系ファンドも参入したTOB合戦になり、株価はさらに3倍まで上昇したので、残念な取引でした」と反省するかぶ1000さんだが、企業が持つ土地の含み資産などから、あらかじめM&AやTOBの対象になりそうな銘柄を見つけられる洞察力や目利き力は、プロ並みといっても過言ではない。