予測できないなら、いっそ全世界に投資すればいい

──世界経済の成長に連動する金融商品に投資しようと思った、とのことですが、そういう金融商品があることを知っていたのですか?

 いえ、全然知りませんでした。だから、ネットで検索して調べてみました。そうしたら、「投資信託」という金融商品があり、そのなかに「世界経済の成長に連動するタイプ」があることを知ったんです。

──それで就職してすぐに積み立てを始めたわけですね。

 はい、入社した年の8月から始めました。

──具体的にはどんな商品を選んだのですか?

 今は世界経済全体に投資する商品はたくさんあります。「全世界株式」とか「世界経済インデックスファンド」といった名称がついているものがそうです。ただ、当時は日本株や米国株、あるいは先進国株、新興国株といったくくりの商品はありましたが、それらすべてをひっくるめたタイプはあまりなかったんです。だから、その少ない中から、手数料などを考慮して選びました。

──米国株ファンドや先進国ファンドは考えなかった?

 特定の地域に投資する商品だと、その国や地域の成長が滞ったら、魅力がなくなってしまいます。世界経済全体に投資すれば、どこかが衰退しても、ほかのどこかが発展すれば補ってくれるので、安定性が高いんです。

──投資の基本は分散投資だと思ったんですね?

 はい。ただし、例えば、「米国経済は世界の平均より成長する」という確信があるならば、米国株ファンドを選べばいいと思います。同じように「先進国より新興国のほうが成長する」と考えているなら、新興国ファンドを選べばいい。僕の場合は、どの国、どの地域が成長するかなんて、さっぱり分からないので(笑)、どこが成長してもある程度の恩恵を受けられる商品に投資しているということです。

──ちなみに日本株のファンドに投資する気はないんですか?

 日本は人口が減少していて、今後、少なくとも飛躍的な経済成長は期待できないと思うので、ちょっと…僕は、その気になれないですね…。

──多くの投資信託のなかで井上さんが世界経済に投資するタイプを選択する理由がよく分かりました。では、次回は実際にどれくらいの金額を投資していたのか。さらには積み立てたお金がどのように増えていったかについてお伺いします。

>>中編:月10万円の積み立てが全ての始まりだった
>>後編:井上さん流 投信積み立て術を公開