何度も聞いているはずの言葉でありながら、収入と所得、手取りの違いがよくわかっていないということはありませんか。

 確定申告などの必要に迫られない限り、銀行口座に振り込まれる給与金額を把握しておくだけで日常生活に問題を感じないという考え方もあるでしょう。

 しかし、社会人として収入や所得、手取りの違いをきちんと把握しておきたいと思う人も少なくないはず。

 収入と所得、手取りの違いについてご紹介します。

収入・所得・手取りの違いとは

「あの役職まで出世すると年収○万円ぐらいになるらしい」

「あの税制改正で所得制限○万円が設けられたらしい」

「手取りが○万円の場合、どのくらいの貯金額が妥当だろうか」

 日常的に交わされる会話の中で出てくる収入と所得、手取りという言葉。わかったような顔をして聞き流していても、それぞれの違いが実はよくわかっていないという人もいます。例えば確定申告の経験がない会社員など、置かれている環境によって収入と所得の違いがよくわからないという人がいるのも自然なことです。

 収入と所得、手取りの違いを簡単に説明すると、下記のとおりとなります。

収入:会社などがあなたに支払った金額、月収や年収という言い方も一般的

所得:収入から必要経費(会社員の場合は給与所得控除額)を引いた金額

手取り:収入から必要経費(自営業者などの場合)や税金、社会保険料を引いた金額

 さらに簡単な言い方に変えてみると、下記となります。

収入:あなたが会社などからもらうお金

所得:税金の計算をするために、収入から必要経費分を引いたお金

手取り:あなたが使えるお金

 一般的には、自分の働きに対して会社がいくら払ってくれているのかを表す収入、そして、自分が自由に使える金額を表す手取りの二つが気になるもの。それら二つに比べると、所得のイメージはわかりづらいと思われがちです。

 しかし、税負担の面において所得金額はとても重要な役割を果たしています。所得税や住民税といった税金は、収入でなく所得の金額から算出されています。所得税には所得金額が上がれば上がるほど税率が高くなる累進課税という方式が採用されており、所得金額が195万円以下の人の税率5%から4,000万円超の人の税率45%まで7段階の税率が設定されています。

出典:国税庁「所得税の税率」