2019年は米中を中心とした貿易摩擦が度々報じられ、この影響を受けて「世界景気減速」というワードが多く取り上げられた一年となりました。国内でも10月から行われた消費税率10%への引き上げや、企業の「ボーナス減」などが話題に上がっています。

 一方で、日経平均株価は、2019年1月4日に1万9,561.96円(終値)でスタートを切り、12月17日には2万4,066.12円(終値)となり、約20%の上昇になりました。業績の減速した企業も多くみられた一方で、大化けした成長株も数多くありました。下記の年間騰落ランキングをもとに、2019年相場で買われた銘柄の特徴を見ていきましょう。

年間騰落ランキング

 まずは、一般的な主力大型株(東証上場の時価総額5,000億円超の企業)の1~11月の値上がり率を騰落ランキングとして紹介します。どのような銘柄がランクインし、なぜ注目を集めて買われたのかを分析していきます。

■東証上場の時価総額5,000億円超の企業の年間騰落ランキング

順位 コード 銘柄名 セクター 最低投資額
(12/19終値)
2019年
値上がり率
(1/4~12/19)
1 7564 ワークマン 小売業 1,012,000 2.9倍
2 4217 日立化成 化学 456,000 2.9倍
3 6857 アドバンテスト 電気機器 598,000 2.8倍
4 8036 日立ハイテクノロジーズ 卸売業 774,000 2.3倍
5 2413 エムスリー サービス業 315,000 2.2倍
6 6146 ディスコ 機械 2,635,000 2.2倍
7 7733 オリンパス 精密機器 164,250 2.0倍
8 4568 第一三共 医療品 707,000 2.0倍
9 8035 東京エレクトロン 電気機器 2,391,000 2.0倍
10 9684 スクウェア・エニックス・ホールディングス 情報・通信業 550,000 1.9倍
出所:フィスコ社作成
最低投資額の単位:円

第1位はこれまでと企業イメージが大きく変わった銘柄?

ワークマン(7564)株価1万120円(12月19日終値)

 第1位は、建設現場・工場向けワークウェアや作業用品の専門店大手であるワークマンです。2019年の値上がり率はなんと2.9倍。スポーツ・アウトドアウェアなどを中心に機能性の高さや低価格路線が大ヒット。女性を含めた幅広い層にも人気となりました。

 最近では空調ファン付きの作業服も話題になりましたね。毎月公表される新規店舗を除いた既存店の売上高では、11月まで26カ月連続で前年同月を上回る推移となっており、その好調ぶりが業績をけん引しました。

 作業服をカジュアルなプライベートブランド商品中心に取り扱う新業態「ワークマンプラス」もメディアで多く取り上げられており、これまでの「作業服の専門店」といった企業イメージが大きく変わった銘柄として、海外の投資家からの注目も集めました。

第2位は業界再編期待で買われた銘柄

日立化成(4217)株価4,560円(12月19日終値)

 第2位は、日立製作所(6501)傘下の化学メーカーであり、リチウム電池向けの部材(負極材)で世界首位である日立化成です。2018年末に検査不正の問題が発覚し、株価は大幅に下落しておりましたが、2019年に入るとアップトレンドになりました。

 親会社の日立がITやエネルギー、社会インフラに経営資源を集中するなかで、日立化成とのシナジーは小さいと判断したもようで、保有する日立化成株を売却するとの方向性が2019年春頃より伝わりました。

 買収の際に同社株の買付価格が上がるのではないかという思惑(プレミアム期待)が先行する格好となったほか、同社はリチウム電池向けの部材(負極材)で世界首位のシェアを誇っており、業界再編に伴う株式取得企業との従来の日立製作所以上のシナジーが期待できるとの見方も優勢になりました。結局、実際に12月18日に昭和電工(4004)が同社の買収を正式発表し、更に買われる展開となりました。

 そのほか、同じ日立製作所傘下である第4位の日立ハイテクノロジーズ(8036)も同様にグループ再編の流れに伴って、他社へと買収されるのではないかという思惑で買われました。

第3位は景気敏感株とされる半導体大手に

アドバンテスト(6857)株価5,980円(12月19日終値)

 第3位は、半導体製品がちゃんとした性質・機能を備えているかどうかを確認する検査工程で使われるテスターを手掛けている企業であるアドバンテストです。

 2018年末から2019年初旬にかけて、冒頭で述べた「米中貿易摩擦」に伴う景気減速懸念の高まりで、景気の動向の影響を受けやすいとされる半導体業界に属する同社の株価もさえない動きでした。

 しかし、夏以降は、次世代通信規格である「5G」や自動車の電装化に関連した半導体需要の高まりを受けて、株価も持ち直し基調となりました。そして、秋口には実際に5G関連半導体などが受注の数値としても実際に現れ始め、今期の業績見通しの上方修正を発表するなど、業績底入れ期待から株価も2007年ぶりの高値水準となりました。

 そのほか、上場子会社の完全子会社化の動きもありましたが第4位の日立ハイテクノロジーズのほか、第6位のディスコ(6146)や第9位の東京エレクトロン(8035)なども同じ半導体関連として半導体需要の持ち直し期待で(業績底入れ期待)市場の注目を集めました。

第5~第10位は業績成長銘柄

 そのほか、第5位の医療従事者向けプラットフォーム事業を展開するエムスリー(2413)は継続的な業績成長が目立つなかで買われました。第10位のスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)は、年前半はPS4やオンラインで遊べるゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の拡張パッケージ、年後半にかけてはゲームアプリ「ドラゴンクエストウォーク」の好調なダウンロード数が話題になり、関心が集まりました。