平均的なライフプランが平均的な日本人を生み出す

 私は、今、金融機関が行っているライフプラン設計が、平均的な日本人を生み出すツールとなってしまっているように思えてなりません。どういうことかというと、「30歳ぐらいで結婚して、子供は2人で、35歳ぐらいでマイホームを購入して、定年まで、もしくは35年でローンを組む。仕事は定年が60歳で、その後、継続雇用で65歳まで働く。その後、年金生活をする。」このようなパターンに多くの人を導く形になってしまっているのでは、と思うのです。

 例として、結婚したばかりの30歳男性(子供なし)が、ライフプランの相談に行った際に、想定される会話を見てみましょう。

相談員「子供は何人欲しいですか?」
男性「まあ、2人ぐらいかな?」

相談員「だいたい皆さん、2人ですね。マイホームは何歳ぐらいで持ちたいと考えていますか?」
男性「具体的に何歳というのはないけど…。何歳ぐらいでマイホームを購入する方が多いですか?」

相談員「30歳代で持たれる方が多いので、では35歳にしておきましょう。仕事はこのまま定年まで続けようと思われていますか?」
男性「まあ、今のところは…」

相談員「定年は何歳ですか? その後、継続雇用で働くことは考えていますか?」
男性「定年は60歳です。その後、続けるかどうか、今は…」

相談員「現段階では、継続して働くということで設定しておきましょう。住宅ローンは何歳まで組みますか?」
男性「60歳までだと25年、65歳までだと30年か。どちらが良いだろう…」
相談員「先々、繰り上げ返済することもできるので、長めに組んで30年としましょう」

 このような会話がされているのではないでしょうか? もし、少しでも平均から外れる会話になった時にはどのようになるか、見てみましょう。

男性「将来、40歳ぐらいで独立して、会社を立ち上げたいと思っていて…」
相談員「10年後に実際にどうなっているか分からないので、現段階では、今の会社で定年まで働いたという設定にしておきましょう」

「独立を考えている」という話をされても、金融機関側は対応できず、「そうお考えなのは分かりますが、現時点では…」という話に実際にはなりがちです。

 運用で大きなリターンを求めている人が来たらどうなるか、見てみましょう。

男性「40歳までに1億円を貯めたいと思っているんですけど…」
相談員「今の年収で1億円は無理です。運用において積極型を選択しても、せいぜい○○万円くらいです。目標を下げましょう」

 多くの金融機関は、国際分散投資をベースに考えているので、積極的な運用をした場合の設計以上のリターンを求められると、「それは無理です。現実的ではありません」という回答になってしまうように思います。そもそも、国際分散投資自体が平均的なリターンを目標としています。分散すればするほど平均、長期保有すればするほど平均です。

 一度、そのライフプランが頭の中にインプットされ、その後、定期的にそのプランを見れば見るほど、インプットは強くなり、平均の人生を歩んでいくことになります。この結果、ライフプランも平均、運用も平均という日本人を多く生み出してしまっているように思うのです。