日韓摩擦でDRAM市況が反発し、半導体関連株の上昇が加速
供給過剰から下落が続いていた半導体市況が反発したことが、日米で半導体株の上昇が加速するきっかけとなりました。半導体メモリの一種DRAM市況が反発しています。同じく下落が続いてきた半導体のNANDフラッシュメモリ市況にも反発機運があります。
世界的に、第四次産業革命(IT活用による技術革新)が進む中、その基幹部品である半導体への需要は増加の一途をたどっています。昨年末に一時的に供給過剰となった半導体メモリですが、在庫調整が進んでおり、来年にかけて再び供給不足になる可能性があると判断しています。
米中貿易戦争・ハイテク戦争の影響で、今、5G(第5次移動体通信)や半導体への投資が人為的に抑えられている状態ですが、貿易戦争がなんらかの形で休戦すれば、抑えられていた投資需要が急拡大すると考えています。
ただし、足元、DRAM市況が反発した直接のきっかけは、米中対立緩和の思惑ではありません。皮肉にも日韓摩擦です。日本政府が半導体製造に欠かせない化学品(高純度フッ化水素)の韓国への輸出管理を強化したため、韓国の半導体メーカーであるサムソンとSKハイニックスが減産に追い込まれる思惑が出ました。韓国の2社で、DRAMの世界シェア約7割を占めていることから、DRAMが品不足におちいる懸念が生じ、需要家が早めに調達に動きました。
韓国メーカーが本当に半導体の減産に追い込まれるのか、現時点ではっきりしません。半導体の在庫調整が進んでいる中で出たニュースだったので、市況反発のきっかけとなりました。
それでは、日韓摩擦がなければ、DRAM市況は、今でも低迷が続いていたのでしょうか?日韓摩擦が市況反発のきっかけになったのは事実です。摩擦がなければ、まだ市況は反発していなかったかもしれません。ただし、在庫調整がかなり進んでいたこと、需要増加が続いていたことから、市況反発は、時間の問題だったと思います。