12月の株式急落は来年を暗示か

 欧米のクリスマス休暇中に相場が荒れることは滅多にないことです。来年2019年の相場を暗示しているのか、参加者が少ない12月相場の特徴として相場が振れやすいだけなのか、市場参加者の見方も分かれています。

 しかし、12月の終わりに悲観一色となると、来年の予想も総悲観となりがちですが、年が明けると相場付がガラッと変わることもあるため、前のめりになり過ぎると危険です。

 例えば、トランプ米大統領がパウエル議長と会談予定とのニュースが流れるだけで相場は反転するかもしれません。トランプ氏もこれほどの株式市場の急落を見過ごすわけにはいかないため、政権内のアドバイスを受けて、批判の急先鋒から一転、融和姿勢を取るかもしれません。日本の正月休み中にこのニュースが流れると、休み明けの東京市場では相場付が変わっている可能性があります。

 

相場の本質を見極めるには

 あまり悲観になるのも禁物ですが、今回の相場の本質を見極めることも重要です。

 つまり、これまでの米株式市場の上昇は、「利下げ」と「量的緩和」というFRBの金融緩和政策によってもたらされてきたのであれば、利上げと資産の圧縮という金融引き締め政策は、株式市場などの資産市場では逆の方向に動くことになります。

 今年2018年10月頃までは、利上げと資産圧縮の逆流の中でも、米株は上昇してきました。しかし、そろそろ限界に達してきたタイミングと世界景気に影響を与える米中貿易摩擦が激しさを増してきたことが重なって、株式市場の調整が起こりました。来年もFRBの政策方針は利上げと資産圧縮が続くとのことであり、仮に株式相場の売りがいったん収まり反転しても、米中貿易摩擦の衝突が回避されず、FRBの政策変更が後手に回った場合には、再び株式市場の調整が起こるかもしれません。

 今回の株式急落を受けて、来年の相場を見るポイントがかなりはっきりしてきたようです。今回の株安で景気後退をさらに懸念しているマーケットと、FRBはどのような対話をしてくるのか見ものです。