市場見通しを受けた長期投資戦略

 筆者の来年の市場見通しは明るいものではありませんが、それを踏まえた長期投資戦略について書きたいと思います。

 戦略はシンプルです。もし市場が下落しても、そのまま投資を続けます。そんなことをしたら、損をしてしまうではないかと思われるかもしれませんが、これまでもこのコラムで書いてきましたように、長期投資であり、「世界経済は一時的な減速や後退があっても長期的には成長が続く。それに従い、市場は長期で均せば、上昇する」ということを前提に投資しているため、慌てて売却せずに、そのまま投資を続けるのがベストという考えです。

 ただ指をくわえて、市場の下げを見ているのはつらいと思いますが、長期投資で一旦保有している有価証券を売却すると、再度投資するタイミングを掴むのは、大変困難です。米国の投資研究では、タイミングを図って売ったり買ったりするよりも、市場の下落の直撃を受けても投資をそのまま長期継続する方が良い結果になるとされています。

 なお、できる限り、積立投資を行うことをお勧めします。積立投資であれば、価格が下がれば、安く投資をすることが可能です。単価が平均買付コストを上回れば、利益となりますので、「単価が上がるか、平均買付コストが下がること」が利益を上げるためには重要です。そのため、下落局面で安く投資をして平均買付コストを下げることは、最終的に利益を上げるために有効な手段といえます。

 

長期投資できない人のための投資戦略

 長期的な資産形成を目指すものの、どうしても下落局面で、評価損が膨らむのは嫌だという方もいらっしゃると思います。その場合は、価格変動が大きい株式等の資産を減らし、価格変動が小さい債券などの資産を増やすことで、リスクを下げるという対策があります。ポートフォリオのリスク水準が下がりますので、株式市場が調整をする局面では、下落リスクを一定程度、抑制することができます。

 ただし、下げたリスクを再び上げることは難しいと思います。リスク水準を上げたり下げたりするということは、タイミングを取った投資をしているのと同じであり、長期的にはあまり良くない結果になることが多いです。

 また保有している有価証券をいったんすべて売却するという対策もありますが、完全に長期投資を中止してしまうことになり、そこから投資を再開するのは、前述のポートフォリオのリスクを下げる方法以上に困難で、長期的な資産形成を図るのであれば、あまりお勧めできません。

 本気で長期的な資産形成を目指すのであれば、やはり長期積立投資を行うことがお勧めです。さらに、市場の先行きについて把握しておけば、仮に下落局面が来たとしても、想定の範囲ということで慌てずにすみますので、情報についてアンテナを張ることも大切です。

 投資の基本は安く買い、高く売ることです。長期投資で、市場がもし下落すれば、それは売り場ではなく買い場である可能性が高いということを忘れないでいただきたいです。資金に余裕があれば、下落局面では売り逃げよりむしろ買うことを検討すべきと思います。

新春特別特集「2019年を大予測」の記事をもっと読む

2019年を大予測