1978(昭和53)年9月28日
テレビ音声がステレオ化、世界初の多重放送開始
1978年9月28日、日本テレビが世界初の音声多重放送を始めました。翌10月にはNHK、フジテレビ、TBSも追随しました。
音声多重放送は1つのチャンネルへ同時に複数の音声を送る放送形態です。もともとは1つの国で複数の言語が使われている欧州で、複数言語による放送ニーズが高まり、1960年代から研究が本格化しました。
実用化は日本が一番乗りを果たしました。朝の人気ワイドショー「ミセス&ミセス」内で音声多重放送がスタート。同日に後楽園球場で行われたプロ野球の巨人・広島戦はステレオ放送で中継され、臨場感あふれる音声が驚きをもって迎えられました。実際には間に合いませんでしたが、「1964年の東京オリンピックで二カ国語放送を実現したい」という狙いで実験が加速したといわれています。
現在、「副音声」として、左右のスピーカーで違う音を出し、音に立体感を持たせるステレオ放送や、ニュースの二カ国語放送、ドラマに情景説明を加える解説放送など、多様なメニューがあります。テレビ電波がデジタル化された現在、1つのチャンネルに最大8種類の音声を送れる通信規格が制定されています。