しかし6月28日にストレステストの結果が発表された後にははっきりします。10年物国債の利回りが3%を割っている時に、8.3%から10%の利回りというのは、リスクを勘案しても魅力的に見えます。魅力的すぎるので恐らく、株価が上昇することによって適正な利回りに収束すると見るのが自然でしょう。

 金融機関をサポートするもう一つの材料は昨年末に成立した法人税減税の影響です。金融機関は法人税減税のメリットをより多く受ける可能性が高く、その分税引き後利益が増えて自己資本が増加、株主還元を実施しやすい状況になります。また法人税減税によって米国全体の企業の税引き後利益が増加しますので、金融機関の貸出先の自己資本増強にもつながり、与信リスクが低下するという側面もあります。

 一部には金融危機から10年、そろそろまた訪れるのではないか、という声も聞かれます。しかし、金融危機時の大手金融機関のレバレッジは30~40倍、現在は上記の通り、せいぜい10倍。今は金融危機を起こそうと思っても起こせない状態なのです。