少子高齢化が進む日本。デフレが続く日本経済。「日本の将来はなんだか暗そうなのに、海外投資家は日本株を買っている。それはなぜ?」 トウシルのキカが抱いた素朴な疑問に、日本在住歴30年のエコノミスト、イェスパー・コールさんが答えてくれました。(以下敬称略)
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[Q6] 海外投資家が日本株を買っているのはなぜですか?

A. 日本という国は低成長でも、日本企業は成長が期待できるからです。

データ出典:イェスパー・コールにて作成

キカ:2017年の東証1部の売買高を見て驚きました! 海外投資家の割合が6割を超えていたんです。なぜ日本株を買っているのですか?

そんなに日本株が人気だったなんて、驚きました!

イェスパー:それは面白い観点ですね。日本に住んでいると、日本経済に対する悲観論が目立ちます。少子高齢化社会が到来し、今後の経済成長率は1%を維持するのがやっとではないかとか。それに比べて米国は3%、インドや中国は8%を超える成長が期待できるというようにね。日本経済に対する議論は大切ですが、投資家は国家に投資をするわけではなく、企業に投資をするのです。日本の皆さんは日本企業に対してはプライドを持っているのではないですか?

キカ:はい、多くの日本企業は世界中で活躍しています。

イェスパー:そうでしょう。日本の投資家だって、赤ちょうちんのお店で一杯やりながら日本経済について議論することはあるでしょうが、そこで悲観的な結論になったとしても個別銘柄に投資することは別でしょ。海外投資家も日本国ではなく日本企業の競争力や株主還元の姿勢などを見て投資をしているのです。
 

[Q7] 日本企業は世界で戦って勝てるのですか?

A. 自動車や素材、造船……勝てる産業はたくさんありますよ。

データ出典:イェスパー・コールにて作成

キカ:世界で活躍する日本企業の中でも、特に強いセクターは何ですか?

イェスパー:それはまず自動車産業です。ハリウッドスターのように注目を浴びているのはアメリカのテスラ(電気自動車の新興メーカー)ですが、ボリュームベースでは日本やドイツのメーカーです。もうひとつは素材産業です。

キカ:素材ですか……。

ものづくりの世界ではやっぱり日本がダントツ強いですね

イェスパー:そんなにがっかりしないで。確かに素材はセクシーではないですね。東レのカーボン素材や信越化学の化学製品は世界一のシェアを占めています。それに韓国や中国に押されていた造船業の復活にも注目しています。でも、素材や造船はテーマとして面白くないでしょ。Googleやアップル、中国の支付宝(アリペイ)の話はセクシーですが、ものつくりの世界では日本企業は強いです。

キカ:やはりもの作りなんですね。

イェスパー:非製造業も世界に進出していますよ。サービス業では、イオンやローソンなど国内でも元気のある企業の進出が目立っています。