少子高齢化が進む日本。デフレが続く日本経済。「日本の将来はなんだか暗そうなのに、海外投資家は日本株を買っている。それはなぜ?」 トウシルのキカが抱いた素朴な疑問に、日本在住歴30年のエコノミスト、イェスパー・コールさんが答えてくれました。(以下敬称略)

はじめまして。イェスパーさんは日本語がとてもご堪能ですね。今日は質問を10つ用意してきました。さっそく、一問一答で取材させてください

[Q1] 日本は魅力的な国なのでしょうか?

A. もちろん。私は23歳の日本人に生まれ変わりたい。

え、23歳の日本人に!?

キカ:本当は世界がうらやむ最強の日本経済」(プレジデント社)を拝読しました。高校生レベルの経済知識しかない私でもわかりやすく、スイスイ読めました。さて、日本からみて、アメリカは資本主義国のお父さんというイメージなのですが、今のアメリカは裕福層と貧困層に二極化しているそうですね。一歩先を行くお父さんがそんな状態で日本の将来は暗い感じがします。

イェスパー:OH! そんなことはないですよ。なぜなら、私はもし生まれ変わるとしたら、大学を卒業して就職したばかりの「23歳の日本人」になりたいと思っています。米国の就職活動は激戦です。フルタイムの仕事はなかなか見つからない。母国のドイツも米国と同じ状況です。でも、日本人は恥ずかしがり屋さんだから、自分の国が「天国」とは思わないし言わないよね。

キカ:自分で自分のことを褒めるのは苦手です…。

それで、日本のなにがそんなに魅力的なのでしょうか?

イェスパー:そうでしょ。ここで投資の話へ戻すと、なんとなく日本の将来は暗そうとか、日本企業は世界で勝てないかもと思うのではなくて、データを見て判断をしなければだめです。失業率などの雇用の状況、正社員か非正規かという雇用の質、3%の賃上げ目標……というように日本の明るさを示すデータはたくさんあります。

データ出典:イェスパー・コールにて作成

 キカ:データをみると、個人資産の中央値の高い国はオーストラリア、英国に続き、日本なのですね。米国よりも高いのには驚きました。ですが、日本は100万ドル以上の裕福層が2.0%しかおらず、1万ドル以下の貧困層も9.0%と少ないですね。

イェスパー:YES。つまり、日本はお金持ちも少なければ貧乏で苦しむ人も少ない、ミドルクラスの国だといえます。米国、フランスは、日本より格差が深刻なのです。