ライトニング・ネットワーク実現へ向けて
ビットコインは、ライトニング・ネットワークを実装することで得られるメリットがあります。それが「スケーラビリティ問題」です。
「スケーラビリティ問題」は目や耳にしたことのある人も多いと思いますが、ビットコインのブロック容量の問題のことを指します。ビットコインの取引情報(トランザクション)を記録するブロックチェーンの容量には限りがあり、取引量が増えると取引時間が非常に長くなってしまったり、取引手数料が高くなるなど、ビットコイン本来の特長が削がれてしまうことになります。ライトニング・ネットワークは、この問題を解決し、現在のビットコインよりもさらに高速で安価な取引を実現する解決策として期待されています。
ライトニング・ネットワークに「Segwit」実装は必須
その解決策として期待されている技術が「Segwit」です。Segwitとは、ビットコインの処理能力を向上させる技術で、取引サイズを圧縮し、ブロックサイズはそのままで取引データをより多く収納できるようになります。
加えて取引データの一部(署名部分)をメインのブロックチェーンではなく、サイドチェーンに分離して管理することで、悪意の第三者によるデータの改ざんを防ぐことができます。
また、メインのブロックチェーン上で行う送金や取引がブロックチェーンの外(オフチェーンと呼びます)で行うことができるようになり、ひいてはライトニング・ネットワークの下地作りや基礎固めができるのです。
ビットコイン最大手の取引所がSegwitを実装
実をいえばビットコインには2017年8月にすでにSegwitが導入されています。けれども、ビットコインを扱う企業や取引所が、技術的な問題などの様々な理由からSegwitを活用した取引がなかなか普及しませんでした。ライトニング・ネットワークはSegwit実装ありきのため、実際に利用されないことにはその進捗は望めません。
しかし、2018年に入り、ついに米国の大手仮想通貨取引所兼ウォレット企業であるCoinbaseがSegwitに対応しました。世界で最も多くのビットコインユーザーを抱えるCoinbaseによるSegwitの導入は、鈍かったSegwit普及の呼び水となることが期待されています。
さらに2018年2月には、ビットコインのメインクライアントとして多くの取引所やウォレットサービスが利用しているBitcoin Core(ビットコインコア)の最新バージョン「Bitcoin Core 0.16.0」がSegwit完全サポートでリリースされました。これにより、ウォレットサービスのプロバイダなどからSegwitの普及がさらに進むことが期待されています。
「より速く・より安く・マイクロペイメント(少額決済)が可能」になるライトニング・ネットワークの実現化へ向けて、2018年4月時点で、大きな前進が見られている状態です。
開発が進むライトニング・ネットワーク
ライトニング・ネットワークの技術開発を行っているライトニング・ラボは、開発者向けに「ライトニングデーモン(lnd)」をリリースしており、そこで利用試験を行っています。開発に際しての資金調達には、ツイッター創業者ジャック・ドーシー氏、ライトコインのクリエイターであるチャーリー・リー氏など、仮想通貨業界のそうそうたる顔ぶれが参加しており、ライトニング・ネットワークへの期待値の高さがうかがえます。
ライトニング・ラボは、今後もさまざまな機能を実装させる予定で、一般ユーザー向けのデスクトップアプリやモバイルアプリも開発中とのこと。今年中とはいえないまでも、一般のビットコインユーザーがライトニング・ネットワークを利用できる日もそう遠い未来のことではなさそうです。
「より速く・より安く・マイクロペイメント(少額決済)が可能」になるライトニング・ネットワークの実現化へ向けて、Segwitの普及と、またライトニング・ネットワーク開発の前進という二つの側面から、足元大きな前進が見られている状態です。2018年中に、さらなる進展が期待されているといえるでしょう。