国の独自通貨発行の動きが活発化
ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンの有用性については各国や機関によってこれまでにも高く評価されていましたが、2018年に入って、各国によるブロックチェーン技術を利用した独自通貨発行の動きが活発になっています。最新の事例と共に、これまでの各国による独自通貨発行の流れをまとめていきます。
ベネズエラ
2018年に入って大きく話題となったのが、ベネズエラ政府発行の「ペトロ」です。原油で通貨を担保する通貨とうたっていますが、交換可能な通貨は足元暴落している自国通貨ボリバルだけです。ベネズエラ政府(マドゥロ大統領)への国際的信用度が低い状況もあいまって、専門家からの懐疑的な声が絶えない仮想通貨となっています。3月にはトランプ大統領がペトロに対して大統領令を発令し、アメリカでペトロに関わるすべての金融取引を禁止しました。第2弾として自国の金と紐づける「ペトロゴールド」を発行する計画もあるようですが、今後の動向が注目されます。
ロシア
ロシアでは、以前より仮想通貨「cryptoruble(クリプトルーブル)」の発行が噂されています。プーチン大統領自らが指示・決定したといわれており、大統領が再選を果たした今、実用化に向けて大きく動いていくかもしれません。ロシアは仮想通貨市場への警戒感を露わにしている国のひとつですが、政府管理という閉ざされた中で、追跡や管理能力にすぐれたブロックチェーン技術を利用した独自通貨発行に関しては税徴収のメリットなどから積極的なようです。
中国
中国では昨年9月より仮想通貨の人民元での取引停止、取引所の閉鎖など厳しい規制を敷いていますが、ブロックチェーン技術による独自の仮想通貨研究を続けており、また中国国内のフィンテック企業にブロックチェーン技術の学習を奨励しています。国別のブロックチェーン技術の関する特許数では、2017年は中国が最多となっています。これは国家独自のコイン作成への土台作りの要素もあると見られており、無期限の国家主席となった習近平の元、プロジェクトが進行していくのではないかと見られます。
トルコ
トルコの民主主義者行動党の副議長、アフメト・ケナン・タンリクス議員が、国に仮想通貨の発行を求める報告書を作成し、「Turkcoin(トルココイン)」を提案したと報道されました。トルココインは政府系ファンド(トルコ航空、イスタンブール証券取引所、国営宝くじ、ジラート銀行等)によって担保される証券のようなものとされており、実現化へ動くかどうか注目されています。
マーシャル諸島共和国
マーシャル諸島共和国でも独自の仮想通貨発行の法案が可決しました。この「ソブリン(SOV)」は、ICO (Initial Coin Offering、新規仮想通貨発行)を通じて配布される予定で、米ドルとともに国内で流通させる予定とされています。
カンボジア
カンボジア政府も独自の仮想通貨「Entapay」発行を検討していると伝えられています。カンボジアでは米ドルが流通しているため、独自の仮想通貨がどのように活用されていくのかその行方や方法が注目を集めています。
エストニア
IT先進国のエストニアは、ICO (Initial Coin Offering)で「エストコイン」の発行が予定されています。しかし、「ユーロに紐づく」という点でヨーロッパ中央銀行が難色を示しており、実用化へのスケジュールの発表はまだありません。
その他
ドバイ政府の「emCash」、イングランド中央銀行とイングランド政府の「仮想通貨RS」、スウェーデンの「eクローナ」、シンガポールの「Ubin project」、など、国独自の仮想通貨の発行決定、発行予定、発行計画を行っている国は数多くあり、その数は今後も増加すると予想されます。
日本の動き
日本を見てみると、国の独自仮想通貨発行の計画は現在のところありませんが、日銀のレビューに「各国の動きを丹念にフォローし考察を深める」とありますので、将来的な発行の可能性はあると思われます。
また、三菱UFJ銀行が独自通貨「MUFGコイン」「Jコイン」の発行を発表、SBIホールディングスが「Sコイン」プロジェクトを発表するなど、メガバンクで独自通貨発行の動きがあります。どちらも2018年内には実用化される模様です。
この現象は仮想通貨が金融市場にとって無視できない重要な存在になっていることの証明といえるかもしれませんが、国が発行するということは管理主体が存在するということになり、ビットコインなどをはじめとする仮想通貨とは性格が大きく異なるものとなります。今後、各国発行の仮想通貨の適用範囲や広がりを注視していく必要がありそうです。






















































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