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本当に貿易戦争は勃発するのか?ドル安、世界株安ショック再び?
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本当に貿易戦争は勃発するのか?ドル安、世界株安ショック再び?

2018/3/7
・トランプ発言の波紋
・日銀の出口戦略の動きに注意
・選挙前の米国保護主義はエスカレートする?
・1980年代のドル安時代、再び?
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トランプ発言の波紋    

 3月1日、トランプ米大統領は鉄鋼・アルミ業界の経営者の「意見を聞く会」で、「鉄鋼に25%、アルミ二ウムに15%の関税を課す計画がある」と、正式決定前にもかかわらず突然発言しました。

 このトランプ発言を受けて、米株、米金利、ドルは大きく下げ、ドル/円は、106円台前半まで下落。翌2日にはさらに、「すべての国との貿易で巨額のカネを失っている場合、貿易戦争は望ましく、勝つのは簡単だ」とツイッター投稿したことから、貿易戦争への警戒感が一気に高まりました。

 相場は動揺し、ドル/円は前月の安値105.55円を下抜け、105.24円まで売られました。しかし、心理的節目である105円には届かず、大きく下げた米株も下げ幅が縮小したことから106円台に戻されています。

 この突然の関税表明の狙いは、今年11月の米国中間選挙をにらんだ動きであるのは明らかです。来週13日には鉄鋼産業が集まる米ペンシルベニア州で下院補欠選挙が行われる予定です。この地区は米大統領選挙で勝ったものの、与党候補が苦戦を強いられているため、このタイミングで表明したのではないかと言われています。

 このトランプ大統領の関税表明に対して、カナダやEU(欧州連合)、中国などは一斉に非難し、対抗措置を講ずる可能性を示唆しました。

 EUが示唆する報復関税のターゲットの1つとなったハーレーダビッドソン社は、共和党・ライアン下院議長の地元ウィスコンシン州に本社を置いています。このことからEUは、米共和党地盤の物産品を狙い撃ちしてくる意向のようです。選挙地盤が揺らぎかねないライアン下院議長は、すぐにトランプ大統領の関税措置への反対声明を出しました。

 この相場のプラス材料になるような反対声明に加え、マーケットの見方も中間選挙をにらんだ動きであるため本格的な貿易戦争には発展せず、交渉手段にしか過ぎないとの見方が広がり、週明け5日の米国株は大きく反発しました。翌日6日の東京市場でも日本株は大きく反発し、ドル/円も戻りましたが、106円台前半が精いっぱいで、大きく戻している印象ではありません。

 

日銀の出口戦略の動きに注意

 この連載では、1月からの相場のテーマとして(1)日銀の出口戦略、(2)米国保護主義、(3)米国インフレ懸念、の3つについて何度かお話ししてきましたが、先週(2月26日~3月2日)は、そのうちの(1)と(2)が唐突に出てきた印象です。

 まず(1)については黒田東彦日銀総裁の再任所信表明という形で出てきました。黒田総裁は「(物価上昇率は)2019年度ごろには2%程度に達するとみている。当然のことながら出口をそのころ議論することは間違いない」と述べました。

 これに対し、ドル/円は円高に反応しましたが、加えて「2018年度に出口の具体的な議論を探るとは考えていない」との発言により、一時的な動きに終わりました。
しかし、黒田総裁が金融政策の転換時期に言及したのは、このときが初めてです。黒田新体制は、金融緩和継続だけでなく出口への模索を始めたということは留意しておく必要があります。

 これまでの株高や円安にとっては逆風であり、海外投資家が、日銀高官の発言や日銀のオペレーション、日本の物価に対してより敏感に反応してくるかもしれません。

 

選挙前の米国保護主義はエスカレートする?

(2)の米国保護主義については、1月にも出てきましたが、このときは、ムニューシン米財務長官の米貿易赤字を減らすためのドル安容認発言と受け止められました。また、財務長官が国際会議の慣例を破っての発言だったためにひんしゅくを買ったこともあり、トランプ大統領が火消しに回りましたが、今回は様子が違います。

 今回は看板公約の保護主義的な貿易政策をトランプ大統領自ら全面に出してきました。中間選挙を控え、いよいよ貿易戦争を仕掛けてきたという印象ですが、本当に実行すれば報復関税を受け、米国経済や雇用に大きく影響し、株や金利、ドルも大きく低下することも予想されるため、現実味はなさそうです。

 また、自由貿易を支持する共和党内部からの反発も予想されることから、前回のように前言撤回となる可能性もありそうです。
しかし、11月の中間選挙まではトランプ大統領も簡単には引かず、鉄鋼やアルミニウムは議会の反対で実現できなかったが、今回は実現できると、あの手この手で何度となく蒸し返してくる可能性もあります。また、コーンNEC(米国家経済会議)委員長が辞任を表明していることなどから、政権内部の混乱も予想されます。

 

1980年代のドル安時代、再び?

 実は私が最も気がかりなのは、米財政赤字拡大、経常赤字拡大と保護主義と、1980年代のドル安時代をほうふつさせる環境になりつつあるような動きをしていることです。これはドル/円にとっては、ドル売り圧力として続くことが予想され、注意が必要です。ドル売り圧力が弱まる場面があっても、なくなることはなさそうです。また、北朝鮮リスクを和らげるような南北首脳会談の報道も一蹴されました。

 そして、いよいよ今週9日は、(3)のインフレ懸念を占う米雇用統計があります。時間当たり賃金が注目されていますが、今回も強い数字が出れば、上記の(1)や(2)の要因を吹き飛ばし、一気に相場の流れを作る可能性もあるため、注目です。

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