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トランプ相場は終焉も、歓迎したい「スーパーサイクル」(香川)
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

トランプ相場は終焉も、歓迎したい「スーパーサイクル」(香川)

2017/7/21
就任後半年を迎えたトランプ大統領の政策運営は迷走を続けているが、米国株の主要指数は最高値を更新。IT業界がリードする「スーパーサイクル」が到来している可能性も。
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今日のポイント

  • 就任後半年を迎えたトランプ大統領の政策運営は迷走を続けているが、米国株の主要指数は最高値を更新。IT業界がリードする「スーパーサイクル」が到来している可能性も。
  • 情報技術(IT)指数や半導体・製造装置指数の業績見通し(12ヵ月先予想EPS)は、「第4次産業革命」と呼ばれるイノベーション進展に伴う収益拡大トレンドを鮮明にしている。
  • 1990年代後半のスーパーサイクルでは、情報技術指数が約8倍(S&P500は約3倍)となった。現在の予想PERに金利水準を加味すると、現在は過度に割高ではないと思われる。

トランプ相場の終焉とIT株価の騰勢

内外の政治的混迷、米長期金利低下、ドル円相場の弱含みなどが悪材料となり、日経平均は上値の重い動きを余儀なくされています。それでも株価が底堅く推移している要因には、(1)米国市場で主要株価指数が連日最高値を更新している、(2)内外景気回復に伴う業績拡大期待が根強い、(3)日銀によるETF買入れ効果期待が強い、などが挙げられます。米国では、就任後半年を迎えたトランプ大統領の政策運営が、オバマケア修正法案の議会審議入りで失敗するなど迷走。ロシアゲート疑惑が強まるなか、「トランプ相場」はいったん終焉しています。ところが米国株式市場では、情報技術(IT:ハイテク)関連が主導して、ナスダック総合指数やS&P500指数が最高値を更新しています。S&P情報技術指数は、2016年後半から騰勢を鮮明にしており、さながら市場が「さようならトランプ大統領、こんにちはIT業界のスーパーサイクル(新しいトレンド)」と宣言しているように思われます(図表1)。

図表1:米国のIT関連株価、ナスダック、市場平均の推移

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月19日)


米ハイテク株価が最高値を更新している背景

米国の市場平均株価(S&P500指数)、ナスダック総合指数、ナスダック100指数などが最高値を更新している主要因として、S&P情報技術指数に象徴されるハイテク株価が、業績期待を背景に6月上旬以降の調整から切り返してきたことが挙げられます。図表2は、S&P情報技術指数(68銘柄で構成される時価総額加重平均指数)、フィラデルフィア半導体指数(半導体・半導体製造装置30銘柄で構成される時価総額加重平均指数)、S&P500指数(米国の大手500銘柄で構成される時価総額加重平均指数)それぞれの「12ヵ月(1年)先予想EPS(12 months forward looking EPS/Bloomberg集計によるアナリスト予想平均)」の推移を過去約10年で比較したものです。S&P500指数(全産業平均)の予想EPSは、2008年秋のリーマンショックに続いた景気後退による落ち込みを取り戻し、その後の拡大を経て2007年比で約5割増加してきたことがわかります。一方、同じ期間に情報技術指数の予想EPSは約3倍となりました。特に、2016年後半から半導体・半導体製造装置の業績見通し急拡大が鮮明です。半導体業界は、「シリコンサイクル(製品需給の変動に伴う好・不況サイクル)」と呼ばれる循環性がみられますが、現在はIoT、AI・ロボティクス、自動運転、ビッグデータ、クラウドなど「第4次産業革命」とも呼ばれるイノベーション進展に伴う需要拡大が原動力と言われています。情報技術関連の業績拡大は、2000年以来約17年ぶりに「IT(ハイテク)業界のスーパーサイクルが到来」との声が聞かれるほどのトレンドとなっています。

図表2:米国のIT関連、半導体、市場平均の業績予想

出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年7月14日、週次)


1990年代の「スーパーサイクル」と比較してみる

IT業界における「スーパーサイクル」は、1995年あたりから2000年までの「IT(ドット・コム)相場」でみられました。PCとインターネットの普及が進んだ当時、ハードウエア関連やソフトウエア関連の株式が先行して買われ、業績が赤字続き、もしくはEPSが低水準でも期待先行で株価は上昇。PER(株価収益率)が極めて高水準となるまで騰勢を続けたことが知られています。その後、「2000年問題」(西暦2000年になるとPCが誤作動する危険があるとされ、1999年10-12月期に新規PC販売が急増。2000年になるとPC業界の過剰在庫が業績を悪化させた)を契機に、割高感があったIT業界の株価は下落し始めました(「ITバブル崩壊」)。図表3は、1995年初を起点とし、市場平均(S&P500指数)とS&P情報技術指数の推移を1999年末までの5年間で振り返ったものです。この期間に約8倍となった情報技術指数がリードし、S&P500指数も同期間で約3倍となりました。この結果、1999年末時点の情報技術指数の予想PERは約55倍、S&P500指数の予想PERは約27倍まで上昇しました。
また、1999年から2000年にかけて長期金利(10年国債利回り)も5%から6%台へ上昇し、金利を加味したバリュエーションでも「割高感」が強くなっていたことが知られています。
一方、前述した通り、現在の主力IT企業群は収益を拡大させており、情報技術指数の2017年予想PERは約19.4倍、18年予想PERは約17.2倍、S&P500指数の17年予想PERは約18.9倍、18年予想PERは約16.9倍に留まっています。しかも、バリュエーションを検討する上で重視したい長期金利は現在約2.3%(1999年末時点の6.3%と比較して半分以下)に留まっています。情報技術関連の株価が「すでにバブル」と指摘する慎重派もいますが、現在の金利水準と予想PERと現在のそれを比較すれば「バブル」とは言いにくいと思います。「音楽が鳴っている間は踊らなければならない」とは、ある著名な投資銀行家がリスク投資の継続性を説いた格言です。業績見通し、バリュエーション水準、金利水準などを総合的に勘案しつつ、「ダンスホールの出口」を視界に入れながら「投資を続けること」が得策と考えています。

図表3:1990年代後半のIT関連株と長期金利

出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1995年初~1999年末、週次)

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