値下がりの途中では買わない
ここまで急速に株価が下落してくると、逆に「新規の買い時なのではないか?」と思う方も少なくないと思います。いわゆる「逆張り」の買いと呼ばれる手法です。
しかし、筆者は逆張りをおすすめしませんし、実際に筆者自身、逆張りの買いはしません。「そろそろ下げ止まるだろう」と思って株価が下がっている途中に買い、そこからさらに大きく下落したら、どうしますか?おそらくどうすることもできず塩漬けになってしまうでしょう。
株価というものは、どこまで値下がりするか誰にも読めません。テクニカル分析を使えば、9割方下げ止まるというポイントは確かにありますが、残り1割になってしまったら、大きな損失を被ってしまいます。
逆張りは、うまくいけば大きな利益を得ることができる半面、大きな損失を被る可能性も高い方法です。確かに、株価が急速に値下がりすると、欲しかった株が魅力的な株価水準に達することもあります。でも、そこからさらに株価が大きく値下がりする可能性があることを忘れてはなりません。
筆者は、株価が急落してほしい株が魅力的な株価水準になっても、25日移動平均線を超えて上昇トレンドに転じるまでは買わないようにしています。株価が下げ止まったのを確認してから買う…これが大きな失敗を防ぐために有効です。
すでに大きな損失を被ってしまっている方へ~次からは同じ失敗を繰り返さない
筆者は、今回株価が急落する以前から、25日移動平均線割れで保有株を売却するというルールにつき、折を見て何度も何度もお話ししています。
でも、今回の株価急落局面では、適切な対応をすることができず、大きな損失を被ってしまった方も多いと思います。では、25日移動平均線を大きく下回ってしまった状況からでも売った方がよいかと言われると、それは回答が難しいです。
なぜなら、25日移動平均線を大きく下回る状況で保有を続けるということ自体が筆者にとってはありえない状況だからです。25日移動平均線を割り込んですぐ売却すれば、反発して再度25日移動平均線を超えたときに買い直しても、それほど大きなロスにはなりません。
でも、25日移動平均線を超えてから買う、という筆者のルールに基づけば、25日移動平均線を大きく割り込んでから売り、その後すぐに反発して25日移動平均線を超え、買い直した場合のロスが大きくなってしまいます。
つまり、上昇に伴う大きなロスと、下落に伴う大きなロスがどちらも考え得る、非常に悩ましい状況になってしまっているのです。もし筆者が同じ状況に立たされているとしたら、売却を選ぶとは思います。保有株がさらに値下がりするリスクをより重視するからです。その後に急反発が生じても、しかたないとあきらめます。
今回の急落で保有株を適切な時期に売ることができなかった、という方にお伝えしたいのは、「次からは同じ失敗を繰り返さない」ということです。
実は、今回のような株価急落は1年に1度程度は起こります。これから長年株式投資を続けていくにあたり、避けては通れない事象なのです。そして、時にはリーマンショック級の阿鼻叫喚の大暴落も起こるかもしれません。
でも、株価下落の初期段階、たとえば25日移動平均線割れで売る、というルールをしっかり守っていれば、たとえ損失が生じたとしても軽い傷ですみます。そして、売却により得たキャッシュを使い、その後の株価上昇局面にしっかりと乗ることができます。
しかし、保有株を売らずに我慢した結果、含み損が膨らみ手も足も出ない状況となってしまっては、その後の株価上昇局面も手元にキャッシュがなく塩漬け株をかかえたままで、満足のいく利益を得るのは難しいでしょう。
信用取引で「追証」となった方は至急投資手法の見直しを!
今回、信用取引をしていて「追い証」(証拠金の追加差入れ)になってしまった方も、投資手法を早急に見直してください。筆者は、追証が発生するような投資手法は、根本的に誤っていると思っています。リスクが高すぎますし、そのうち全財産を失うほどの大きな失敗につながりかねません。
追証が発生する理由は主に3つです。レバレッジのかけすぎと高値掴み、そして損切りの遅れです。
レバレッジはほどほどの水準にとどめ、25日移動平均線からのカイ離が大きい銘柄は買わない、そして25日移動平均線を割り込んだら速やかに損切りする・・・この3つを遵守できないならば、信用取引はしないほうが身のためです。
株式投資での成果は、下落局面での適切な立ち回りがしっかりとできているかどうかにかかっています。
どんなに大きな下落が訪れたとしても、小さい傷で乗り切るための手法を、必ず身につけておくようにしてください。これからもきっと役立つ場面が何度も訪れるはずです。