今週に入り米国株が急落、日本株も同じく短期間で大きく下落しています。
「自分の保有株はどうなるのか?」と不安に思っている個人投資家の方へ、筆者が今回の急落をどう乗り越えたかをお伝えします。
急落が起きてもいつも通りのルールを実行するのみ
日本株が急速に値を下げています。日経平均株価は5日(月)に500円を超す下げとなったと思ったら、6日(火)にはなんと一時1,500円を超える値下がりとなり、一気に株式市場は警戒モードとなりました。
そんな中、筆者は今週の月曜日と火曜日で、保有株をほぼゼロにしました。その理由は、日米のさらなる株価急落を警戒して…ではありません。単にルールに従っただけです。
すでに筆者のコラムや著書、ブログ、メルマガなどをご覧いただいている方はご存知のとおり、私の売買のルールは非常に機械的かつシンプルです。
「25日移動平均線を超えたら買い、割り込んだら売る。」ただこれだけです。
今週の月曜日と火曜日に、保有株の大部分が25日移動平均線を割り込んだので、ルールに従って売却し、その結果保有株がほぼゼロに近い状態になったのです。
なぜ25日移動平均線を割り込んだら保有株を売却するか、1つには売却のタイミングが非常にわかりやすいから、もう1つは株価下落の初期段階で売却することができるからです。
株価が天井をつけて下落に転じるとき、主要な移動平均線の中でまず真っ先に割り込むのが25日移動平均線です。その後、株価はさらに大きく下落していきます。
もし、25日移動平均線を割り込んだ時点で売却すれば、その後どんなに株価が急落・暴落しても自分の懐は一切痛まず、浅い傷で株価下落の局面を乗り切ることができるのです。
筆者も、もちろんピーク時からは含み益を減らして売ることになったり、銘柄によっては損失を出したりもしましたが、所有資産(現金+株式)の減少はピーク時から10%ほどの減少で収まりました。
「ここから反発したら…」は考えない
筆者は今回に限らず、常にこのルールにのっとって保有株を売却することにより、暴落・急落局面を何度も乗り越えています。
しかし、筆者がルールに従った客観的・機械的な売却の重要性をお伝えしても、それが実行できない個人投資家の方もいます。その理由の1つが、「ここまで大きく値下がりしたのだから、売った後反発するかもしれない」という思いからです。
確かに、株価が短期間に急落した場合、程なく反発に転じることも多々あります。でも、「〇〇ショック」のように、急落した株価が一向に下げ止まらないケースも少なくないのです。
株式投資で重要なのは、「いかに利益を大きく伸ばすか」ではなく、「いかに大きな失敗を避けるか」です。
もし、25日移動平均線割れで売却した株が反発して再度25日移動平均線を超えたら、その時に買い直せばよいだけです。確かに、25日移動平均線を割れてすぐに反発した場合、売った株価より買い戻しの株価の方が高くなるので、何もせず保有を続けるほうが有利です。
でも、これは結果論に過ぎません。繰り返しますが、筆者が最も重視しているのは「いかに利益を大きくするか」ではなく「いかに大きく負けないか」です。ですから、25日移動平均線を割り込んだら、「そこからさらに株価が大きく下落する可能性が高いサイン」ととらえて、速やかに売却するのです。
「売ったあと反発したらどうしよう」と心配する暇があったら、「売らずに保有した結果さらに大きく下落したらどうしよう」と心配すべきです。売った後反発したら買い直せばよいですが、売らずにさらに下落を続けたとしたら、どうしますか?売らずに保有を続けることなど、筆者には恐ろしすぎてできません。
値下がりの途中では買わない
ここまで急速に株価が下落してくると、逆に「新規の買い時なのではないか?」と思う方も少なくないと思います。いわゆる「逆張り」の買いと呼ばれる手法です。
しかし、筆者は逆張りをおすすめしませんし、実際に筆者自身、逆張りの買いはしません。「そろそろ下げ止まるだろう」と思って株価が下がっている途中に買い、そこからさらに大きく下落したら、どうしますか?おそらくどうすることもできず塩漬けになってしまうでしょう。
株価というものは、どこまで値下がりするか誰にも読めません。テクニカル分析を使えば、9割方下げ止まるというポイントは確かにありますが、残り1割になってしまったら、大きな損失を被ってしまいます。
逆張りは、うまくいけば大きな利益を得ることができる半面、大きな損失を被る可能性も高い方法です。確かに、株価が急速に値下がりすると、欲しかった株が魅力的な株価水準に達することもあります。でも、そこからさらに株価が大きく値下がりする可能性があることを忘れてはなりません。
筆者は、株価が急落してほしい株が魅力的な株価水準になっても、25日移動平均線を超えて上昇トレンドに転じるまでは買わないようにしています。株価が下げ止まったのを確認してから買う…これが大きな失敗を防ぐために有効です。
すでに大きな損失を被ってしまっている方へ~次からは同じ失敗を繰り返さない
筆者は、今回株価が急落する以前から、25日移動平均線割れで保有株を売却するというルールにつき、折を見て何度も何度もお話ししています。
でも、今回の株価急落局面では、適切な対応をすることができず、大きな損失を被ってしまった方も多いと思います。では、25日移動平均線を大きく下回ってしまった状況からでも売った方がよいかと言われると、それは回答が難しいです。
なぜなら、25日移動平均線を大きく下回る状況で保有を続けるということ自体が筆者にとってはありえない状況だからです。25日移動平均線を割り込んですぐ売却すれば、反発して再度25日移動平均線を超えたときに買い直しても、それほど大きなロスにはなりません。
でも、25日移動平均線を超えてから買う、という筆者のルールに基づけば、25日移動平均線を大きく割り込んでから売り、その後すぐに反発して25日移動平均線を超え、買い直した場合のロスが大きくなってしまいます。
つまり、上昇に伴う大きなロスと、下落に伴う大きなロスがどちらも考え得る、非常に悩ましい状況になってしまっているのです。もし筆者が同じ状況に立たされているとしたら、売却を選ぶとは思います。保有株がさらに値下がりするリスクをより重視するからです。その後に急反発が生じても、しかたないとあきらめます。
今回の急落で保有株を適切な時期に売ることができなかった、という方にお伝えしたいのは、「次からは同じ失敗を繰り返さない」ということです。
実は、今回のような株価急落は1年に1度程度は起こります。これから長年株式投資を続けていくにあたり、避けては通れない事象なのです。そして、時にはリーマンショック級の阿鼻叫喚の大暴落も起こるかもしれません。
でも、株価下落の初期段階、たとえば25日移動平均線割れで売る、というルールをしっかり守っていれば、たとえ損失が生じたとしても軽い傷ですみます。そして、売却により得たキャッシュを使い、その後の株価上昇局面にしっかりと乗ることができます。
しかし、保有株を売らずに我慢した結果、含み損が膨らみ手も足も出ない状況となってしまっては、その後の株価上昇局面も手元にキャッシュがなく塩漬け株をかかえたままで、満足のいく利益を得るのは難しいでしょう。
信用取引で「追証」となった方は至急投資手法の見直しを!
今回、信用取引をしていて「追い証」(証拠金の追加差入れ)になってしまった方も、投資手法を早急に見直してください。筆者は、追証が発生するような投資手法は、根本的に誤っていると思っています。リスクが高すぎますし、そのうち全財産を失うほどの大きな失敗につながりかねません。
追証が発生する理由は主に3つです。レバレッジのかけすぎと高値掴み、そして損切りの遅れです。
レバレッジはほどほどの水準にとどめ、25日移動平均線からのカイ離が大きい銘柄は買わない、そして25日移動平均線を割り込んだら速やかに損切りする・・・この3つを遵守できないならば、信用取引はしないほうが身のためです。
株式投資での成果は、下落局面での適切な立ち回りがしっかりとできているかどうかにかかっています。
どんなに大きな下落が訪れたとしても、小さい傷で乗り切るための手法を、必ず身につけておくようにしてください。これからもきっと役立つ場面が何度も訪れるはずです。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。