何が円高急進行を支えたのか?
112円台後半で始まった2018年のドル/円は、しばらく112円台を中心とする緩慢な動きが続きました。
しかし、「今年は静かな幕開けかな」と思ったのは第1週だけでした。翌週からは中国の米債への言及と日銀のオペをきっかけに、いきなり動意付き、昨年2017年以来、積み上がった円売りポジションが一気に調整され、円高が進みました。これも単なる円売りポジションの調整であれば、一時的な円買いに終わるかと思いましたが、その後の3年振りのユーロ高と、1年半ぶりのポンド高によるドル売りがさらにドル/円の売り圧力となり、ほとんど戻りがないまま1月12日には110円台に突入しました。
久々の円高水準から外債投資のためのドル買いに出るかと期待されていた日本の投資家も、静観姿勢で110円の歯止めにはなりませんでした。
その後、米国からのドル安容認発言や、日銀の出口戦略への思惑から一気に108円台へと円高が進行。あっという間に昨年のドル安値水準に下落してしまいました。このまま昨年のドル安値107.32円に顔合わせとなり、さらに円高に進んでいくのでしょうか。
こうした今回の円高は、何が背景で進行したのでしょうか。まずは、時系列でその原因をたどります。
以上が、この2週間で起こった出来事ですが、まとめると次のようになります。
- ECB(欧州中央銀行)への金融政策変更への期待から、昨年来ユーロ高、ドル安が続いており、このドル安圧力がドル/円にも波及。米国の次は欧州との期待は今年も持続
- ECBの次は日銀との潜在的な思惑が、日銀オペ減額をきっかけに発現
- 口先だけだった強硬な米通商政策を、ドル安容認発言によって実行に移し始めたとの印象をマーケットに与えた