前回は、みなさんが取引できる主な国内商品先物の上場商品が、貴金属、石油、農産物、ゴムの4つのカテゴリに分かれていることを紹介しました。今回はこの4つのカテゴリの中から「貴金属」について紹介します。
以下の通り、貴金属のカテゴリは、金、銀、白金(プラチナ)、パラジウムの4つの金属で構成され、7銘柄の取引ができます。
図:楽天証券で取引が可能な国内商品先物の貴金属関連銘柄
4種類・7銘柄の貴金属の商品について、「変動率」「出来高」「産業用の用途」の3つの切り口で違いをみてみます。
以下「変動率」です。
以下のグラフは、金の10年間の値動きを示したものです。金価格はこの8年間で最大で90%超、上昇しました。
図:金の値動き(金先物 期先 月間平均) 単位:円/グラム
また、以下は4種類の貴金属の値動きを比較したグラフです。
図:4つの貴金属の値動き 期先の月間平均価格について2009年1月を100として指数化
さきほど金が最大で90%超、上昇したのを見ましたが、4つの比較では、金の変動率は大きくありません。パラジウムや銀が金に比べて上振れしている(していた)、プラチナが下振れしていることがわかります。
図:4つの貴金属の変動率 2009年1月から2017年11月7日まで
対象期間における期先価格(月間平均)の最大変動率
次は「出来高」です。
図:各貴金属銘柄の出来高(月間平均) 2017年1月から2017年10月まで 単位:枚
最も出来高が多い貴金属は「金」です。金の次に多い貴金属は白金です。銘柄別でいえば、金(1kg)、次いでゴールド100、白金の順となります。金ミニ・銀・白金ミニ・パラジウムの4つの出来高は金(1kg)の11%およびそれ以下となっています。
出来高が多いことは、取引が活発に行われていることを表します。取引が活発であればあるほど人気がある銘柄と言えます。
次は「産業用の用途」です。
図:4つの貴金属の用途の割合
ここでいう産業用の用途とは、金でいえば電子製品・歯科技工用など、銀は電子製品・太陽光発電装置・写真のフィルムなど、白金は自動車の排ガス浄化装置・電子製品・石油精製施設で用いられる部品など、パラジウムは自動車の排ガス浄化装置・電子製品・歯科技工用などを合わせたものです。
金は約10%、銀と白金は60%前後、パラジウムは90%強がそれぞれの用途全体に占める産業用の割合ということになります。
電子製品・自動車の排ガス浄化装置などが中心の産業用の消費の増減は、世界景気の動向に影響を受ける傾向があるため、産業用の用途の割合が高い貴金属ほど、景気の影響を受けやすいと言えます。
好景気の場合は消費がより伸びやすく、不景気の場合は消費がより停滞する、というイメージです。
ここまで述べた「出来高」「変動率」「産業用の用途」の3つを表にまとめたものが以下です。それぞれ金を100としています。
図:4つの貴金属の「変動率」「出来高」「産業用の用途」
用途の構造だけが価格の変動要因というわけではありませんが、金に比べて出来高が少なく、産業用の用途の割合が高い銘柄ほど、変動率が高い(上下に価格がブレやすい)と考えられます。
この価格のブレが売買のきっかけになるという面もありますが、出来高が少ない点は不利な価格で約定する可能性を高めるため、実際の売買には注意が必要です。