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「2015年米国経済・株式相場の見通し」(1)
堀古 英司
ウォール街から~米国株の魅力~
ニューヨークのヘッジファンド運用マネジャーである堀古英司氏による週刊レポート。単なる分析にとどまらず、出来るだけ「裏を読む」という観点で米国経済、市場についてお伝えするコーナーで…

「2015年米国経済・株式相場の見通し」(1)

2015/1/30
これは去る1月18日、横浜にて開催された楽天証券新春講演会2015で講演させていただいた内容を要約したものです。
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これは去る1月18日、横浜にて開催された楽天証券新春講演会2015で講演させていただいた内容を要約したものです。

ここ10年近く、アメリカ株に投資しようと思っても、円高によって株価上昇による利益が相殺されるのでなかなか踏み切れない、という方が多かったと思います。確かに日本に居られる皆さんにとって、為替はアメリカ株投資を考えるにあたって重要な要素の一つですので、まず為替の見通しからお示ししたいと思います。私が2013年末にテレビ東京で示した2014年末のドル円、ダウ、日経平均予想値は、それぞれ120円、2万ドル、2万円でした。あいにくダウ、日経平均は届きませんでしたが、ドル円はピッタリ(2013年末105円に対し2014年末120円)予想値に一致しました。つい先日、機内で読んだ週刊誌で、市場関係者の2014年初の為替予想がいかにいい加減で、そもそも相場の予想など出来るわけが無いものだ、との記事があったので、敢えて昨年の予想を引っ張りだしてきた次第です。

近年のドル円相場は日米実質金利差が大きな決定要因となっています。2014年前半、ドル円はずっと101~103円近辺の推移でしたが、日米実質金利差によると2013年末時点で適正水準は110円近辺と示していました。為替相場というのは時に行き過ぎるものであり、過去を照らし合わせても適正水準から10円程度の乖離はしばしば観測されます。日米の景気格差は明らかであったので、適正水準から10円円安方向に乖離してもおかしくない、と考え予想したのが120円でした。

さて現時点では日米実質金利差から算出される適正水準は113円となっています。引き続き日米の景気格差は明らかであるものの、世界的に長期金利が低下傾向にあって、先進7カ国の中で10年物国債利回りはアメリカが最も高いこと、原油価格が急落していてディスインフレ傾向にあることを考えると、今年は日米実質金利差の拡大にも限界があると考えざるを得ません。この結果昨年ほどの円安は考え難く、せいぜい127~128円程度までの円安で、130円に届くのは難しいだろうという予想をしています。一方で適正水準が113円で、引き続き日米景気格差が明らかである以上、110円を大きく割るような円高は考え難く、もしあったとしてもそれはドル買い・円売りの格好のチャンスと見るべきと個人的には考えています。

いずれにしろ当コラム(2012年米国経済・株式相場の見通し(1)等)でも再三申し上げてきた通り、2007年7月に始まった円高は2012年で終了しており、その間に経験したような円高を恐れてアメリカ株投資になかなか踏み切れない、というのは勿体無いことです。今年に関しては昨年ほど為替で利益が上がることは無いかもしれませんが、財政状況が厳しく長期間にわたって金融政策に頼らざるを得ない日本と、金融危機と決別し新たな成長局面に入ったアメリカとの景気格差は明らかであり、長期的にドル円がドル高・円安方向にあることに変わりはないでしょう。

一方で、今年は特にアメリカ株の上昇が期待できる年になると見ています。アメリカの代表的株価指数であるS&P500のバリュエーションを見てみますと、2015年予想ベースの益利回り(株価収益倍率の逆数)が6%を超えてきています。一方アメリカの10年物国債利回りは1.8%を割ってきていますから、その差は4.2%に広がっています。もちろん株式には国債のような元本・利金保証はありませんが、代わりに国債にはない、利益(利金)の成長があります。長期的に見ると、この元本保証と利益成長の価値は概ね相殺される傾向があります。そのような中で、S&P500指数の益利回りと10年物国債利回りの差が4%以上というのは、これまでも無かったことではありません(過去1回、5%に拡大したことはあります)が、既に歴史的にもかなり拡大している状態、と見ることができます。

またS&P500指数の2015年予想ベース配当利回りは2%と、10年物国債利回りよりも高くなっています。利金の成長が無い国債と異なり、利益や配当の成長が期待できる株式の配当利回りが国債利回りを上回るというのは、かなり珍しい(株式が割安な)状態です。S&P500指数の配当利回りが10年物国債利回りを上回るのは金融危機時と2012年にのみあった現象であり、いずれのケースも、その後株式相場は大幅に上昇することによってこの珍しい状態は解消されているのです。

もっとも、去年まで続いてきた積極的な量的金融緩和の影響で、国債利回りが適正水準よりも人工的に低く抑えられているだけ、という見方もできます。一方で直近のFOMC(連邦公開市場委員会)でメンバーが示している長期的なFF金利の適正水準というのは3.75%です。とすれば量的金融緩和の影響が徐々に消え、10年物国債利回りが上昇していったとしても、長期的な適正水準は4%以下に落ち着く、というのが自然な見方でしょう。さらに原油価格下落を受けた世界的なディスインフレ傾向、世界的な長期金利低下傾向も勘案すれば、実際には、10年物国債利回りは4%よりも遥かに下の水準で推移する可能性の方が高いと思います。

(つづく)

(2015年1月18日横浜にて)

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