今週の日経平均ですが、先週末(2月12日)の15,000円割れから一転、反発基調が続いています。前回のレポートのテーマは「下げの最終局面」でしたが、果たして底を打ったと判断して良いのでしょうか?まずは足元の状況を確認してみます。

(図1)日経平均(日足)の動きと東証1部の売買高 (2016年2月18日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

18日(木)の終値は16,196円となり、節目の16,000円台を回復しています。下げの終盤とされる3回目の下落から反発した格好になっていますし、売買高も15,000円割れとなった12日に大きく増えていることから、昨年12月からの下落トレンドはひとまず終了したと考えることができます。

とはいえ、下落トレンドの終了が「イコール上昇トレンドへの転換」とは限りません。日経平均が大きく反発した15日(月)以降の売買高が減少傾向となっているほか、18日の高値(16,337円)は16日(火)の高値を超えていないこともあり、株価水準自体は1,000円以上切り上げている割には買いの勢いに弾みがついていない印象でもあります。

そのため、今後のシナリオは、①買い安心感が広がり、戻りのメドとされる25日移動平均線も突破してさらに上昇、②25日移動平均線水準まで戻した後、もみ合いが続く、③Wボトムを形成する格好で再度底打ちを確認してく、の3つが想定されます。

また、別の角度からも見てみます。下の図2は日経平均(日足)のボリンジャーバンドです。

(図2)日経平均(日足)のボリンジャーバンド(2016年2月18日取引終了時点)。

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

図2を見てみますと、バンドの線の傾きが右肩下がりを形成し、下落トレンドが継続してきたことが分かりますが、足元の日経平均はマイナス1σ(シグマ)に位置しています。

トレンドに乗る売買を行う場合、一般的にはボリンジャーバンドの1σが利益確定のタイミングとして有効とされています。実際に、昨年12月からの動きを見てみますと、マイナス1σの水準でもみ合う場面が見られますが、株価水準が少し戻したところで戻り待ち売りが出やすいタイミングでもあり、足元はマイナス1σの水準が戻り待ち売りの壁となって、突破を試している最中と言えます。過去においては、その後はいずれも25日移動平均線水準まで上昇する場面がありました。

これまでのパターンで行くならば、先ほどの3つのシナリオのうち、①もしくは②への期待が高まりそうですが、その一方で、シナリオ③になってしまう確率が低くはないのが悩ましいところです。ここで注意したいのは売り仕掛けのポイントです(下の図3)。

(図3)売り仕掛けのポイント

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図3は、下落トレンドが発生している際、2回目・3回目の下落時に再度売り仕掛けをする一般的なタイミングをトレンドラインで描いたものです。具体的には下げ止まった箇所を起点に、戻り局面での安値を結んだトレンドラインを描きます。そして、いったん戻り高値をつけた後、再度この戻り高値を上抜けできず、トレンドラインを下抜けたところが売り仕掛けをするタイミングとされています。

あらためて図3で足元の状況を見てみますと、下方向への余裕があまりなく、戻り高値を更新していくだけの買いのエネルギーが必要になります。また、トレンドラインを下回ると、売り仕掛けのタイミングとして意識されやすく、また、ちょうど節目の16,000円水準でもあるため、③のシナリオが急浮上することになります。中長期的な視点で取引を手掛けにくい状況はまだ続きそうです。