iPhone4の料金プラン、CLV分析で収益性に疑問符
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00762 | 中国聯合網絡通信(香港)股フン有限公司(チャイナ・ユニコム(ホンコン)) |
15.64 HKD (05/16現在) |
株価 企業情報 チャート |
BOCIはこのほど、チャイナ・ユニコムのiPhone4パッケージに関するCLV(customer lifetime value:顧客生涯価値)分析を実施。その結果、ハイエンド(月額386元超)およびローエンド(同126元以下)向けパッケージの採算性を評価する一方、中価格帯については採算化が期待しにくいとの結論を導き出した。CLVベースの中価格帯の採算化には解約率を1.5%以下に抑える必要があるとした上で、国内の平均解約率が3.5%に達している現状を指摘。同社株価の先行きに対し、慎重見通しを継続している。
CLVは顧客1人が加入期間(顧客ライフサイクル)を通じて企業にもたらす累計損益を示すマーケティング成果指標。BOCIは今回、iPhone4の16GBパッケージの収益性を評価するために以下の3つの段階を踏んだ。
【1】顧客獲得コストの算出:携帯電話端末向けの補助金を適用した。本来はこれにコミッション、広告費、作業費用などが上乗せされる。
【2】CLVの算出。
【3】採算化ポイントの算出――。
それによると、例えば月額226元のパッケージの場合、顧客獲得コスト(=端末補助金)は2450元。採算ライン(CLV換算で2510元)に載せるためには月間解約率を1.3%に抑える必要があるという。
顧客の消費額別に分析結果をみると、まず月額586元、886元のハイエンド・パッケージは同社にとっても最も収益性が高く、月間解約率をそれぞれ2.2%、3.4%以下に抑えれば、端末補助金コストを100%差し引いてもNPV(正味現在価値:投資価値指標。将来のキャッシュ・インフローの現在価値からキャッシュ・アウトフローの現在価値を差し引いた正味額)をプラスに維持することが可能。ただ、586元のパッケージでもARPU(加入者1人当たり月額収入)は600元を超えるとみられ、これは国内の平均ARPUの10倍に当たる数字。価格の高さから、ターゲット層が限られる可能性が高い。
また、月額126元以下のローエンド・パッケージも収益性が高く、解約率を3.2%以下に抑えればCLVは黒字となる。ただ、このパッケージは端末補助金が50-650元にとどまるため、消費者にとっては24カ月契約を結ぶメリットに欠ける可能性がある。
一方、月額156-386元の中価格帯パッケージは相対的に端末補助金が高いために収益性が低く、月間解約率を156元、186元のパッケージで1.5-1.6%、226元、386元のパッケージで1.3%に抑える必要が生じるという。
BOCIによると、ハイエンド市場を中心とするキャリア間の競争激化を受け、国内全体の月間解約率は3.2%から3.5%の範囲にある。最も低い3.2%はチャイナ・モバイル(00941)の数字で、最も高い3.5%はチャイナ・テレコム(00728)となっている。