1-3月期に51%増益、非金利収入の伸びやコスト軽減が好決算に寄与
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00998 | 中信銀行(チャイナ・シティック・バンク) |
5.56 HKD (05/03現在) |
株価 企業情報 チャート |
中信銀行の2011年1-3月期決算は、純利益が前年同期比50.9%増の65億500万元に上り、BOCIの予想水準を達成した。引当額が同46.3%増大する中、主に以下の要因が好決算を支えた。◇金利派生資産の前年同期比22.5%の増加と利ざやの改善を受け、純金利収入が34.4%拡大した◇非金利収入が急増し、手数料収入、その他非金利収入がそれぞれ57.2%、92.1%の伸びを示した◇コスト管理面で成果を上げ、対収入コスト比率が大きく低下した――。
BOCIの推計によると、1-3月期の利ざやは前四半期の2.67%から2.74%に改善した。融資の量的規制を背景とする貸付利回りの上昇、利上げによるプラス効果、さらに銀行間債務の縮小とインターバンク資産の利回り向上などが利ざや拡大に寄与した。
純手数料収入は前年同期比57.2%増、前四半期比では18.4%増となる18億5000万元を記録し、経常収益に占める割合は前年同期の9.7%から11.0%に上向いた。ただ、この数字は同業銘柄の中ではさほど高水準になく、BOCIは一段の上昇余地を指摘している。
1-3月期には経常収益が前年同期比38.2%伸びる半面、経常費用が19.5%増にとどまり、対収入コスト比率は36.2%から31.3%に大きく低下。同行の優れたコスト管理能力をうかがわせた。
期末の不良債権残高は85億6600万元と、昨年末からわずかに増加したが、不良債権比率は0.67%から0.66%へやや低下した。引当金の積み増しを受け、引当率は期初の213.5%から231.2%に上昇。貸出総額に対する引当率も1.43%から1.53%に上向いた。ただ、1.53%との数字は同業銘柄の中で低水準にあり、BOCIは今後も引当金積み増しが必要になるとみている。
BOCIによると、1-3月期にみられた同行のウイークポイントの一つは資産拡大ペースの鈍さ。新たな資金調達計画が実行されていない状況下で、同期の貸出残高の伸びは昨年末比2.66%、総資産の伸びもわずか同3.03%と、同業銘柄に比べ低調だった。また、預金残高の伸びも前四半期比4.0%増と、相対的に小幅の伸びにとどまった。
中核的自己資本(Tier1)比率、自己資本比率は期末にそれぞれ8.21%、11.0%となり、Tier1比率は政府当局が求める最低基準を割り込んだ。ただ、同社は株主割当増資を計画しており、BOCIによると、6月末までには完了する見通しという。BOCIは一方で、貸付利回りの上昇を背景とした同行の利ざや拡大が続くと予想。さらにリテール部門の好調を見込み、収益ベースの多様化に対しても期待感を示している。
同行の現在株価は2011年予想PBR(株価純資産倍率)で1.34倍、予想PERで8.36倍の水準。BOCIは株価の先行きに対して中立的な見方を継続している。