2016年12月15日(木)、騰落レシオが過去最高となる数値をつけました。では、日本株は天井を打ってしまうのかといえば、過去のデータからはそうとも言い切れません。これからの日本株がどうなっていくのか、私たち個人投資家はどうすればよいのか、考えていきたいと思います。

過去最高となった騰落レシオ

2016年12月15日(木)、25日騰落レシオ(以下単に「騰落レシオ」と表記します)は165.5%をつけ、過去最高を更新しました。

騰落レシオとは、当日を含めた過去25営業日間の値上がり銘柄数合計を値下がり銘柄数合計で割ったものです。この数値が高いほど、値上がり銘柄が多いため相場は過熱感が生じている、逆に低いほど、値下がり銘柄が多いため相場は売られすぎとなっている、と判断します。

騰落レシオが130%を超えてくると、かなり過熱感が高まってきており、目先の天井形成に注意すべき、といわれています。しかし、今回は130%をいとも簡単に突破し、165.5%という「異常値」をつけたのです。

過去、騰落レシオが160%を超えたのは3回しかありません。

過去の騰落レシオ160%超えとその後の株価の動きを振り返る

では、過去に騰落レシオが160%を超えた3回を振り返ってみましょう。実は3回とも、騰落レシオが高値をつけたタイミングよりかなり後になってから、日経平均株価が高値をつけているのです。

  • 2010年12月9日(木)騰落レシオ163.4%→日経平均株価の高値2011年2月18日(金)
  • 2012年12月19日(水)騰落レシオ164.5%→日経平均株価の高値2013年5月24日(金)
  • 2014年6月24日(火)騰落レシオ164.0%→日経平均株価の高値2014年8月1日(金)

このように、騰落レシオがピークとなってから早くても1カ月後、中には半年後、というケースもあります。

騰落レシオがピークをつけたとしても、日経平均株価も同じようにピークをつけるとは限らない、という点は押さえておいてください。これは騰落レシオを用いる場合の重要なポイントです。

全ての銘柄が同じように上昇するわけではない点には注意

ただし、騰落レシオのピークよりかなり後に日経平均株価がピークをつけるからといって、全ての銘柄が同じように上昇するわけではない点には注意が必要です。

騰落レシオと日経平均株価とでピークが異なるように、日経平均株価と個別銘柄とではピークが異なることも多々あるからです。

中には騰落レシオがピークとなる以前にピークをつけてしまう個別銘柄もありますし、騰落レシオのピークとほぼ同じ時期にピークをつけるものもあります。どちらかといえば、日経平均株価のピークよりも前にピークをつける個別銘柄の方が多いです。

また、過去3回の騰落レシオ160%超えの時とは異なり、今回は日経平均株価がすぐにピークを迎えてしまう可能性だってもちろんあります。

ですから、日経平均株価がまだまだ上昇トレンドにあって上値追いをしている状況であったとしても、個別銘柄の株価のトレンドを重要視して、売買の判断を実行するようにしてください。

結局は株価のトレンドに従って投資行動をするのが無難

特に2012年12月19日(水)のときに騰落レシオが160%を超えた時は、振り返ってみればアベノミクス相場がスタートしてまだ1カ月しか経過していないタイミングでした。日経平均株価はそこから調整らしい調整が全くないまま、2013年5月24日(金)の高値まで、なんと50%も上昇しているのです。

騰落レシオが160%に達したからといって、その後消極的な行動を取っていたならば、その後の大相場を取り逃してしまったわけです。

足元の相場は、2012年11月~2013年5月までのアベノミクス相場と似ているといわれています。だとすればなおのこと、騰落レシオの「異常値」だけをもって投資判断をすることは避けるべきだと思います。

ではどうすればよいのか、いつも同じ話で恐縮ですが、結局は株価のトレンドに従って投資行動をしていくのが無難です。上昇トレンド入り直後に買い、上昇トレンドが続く限り保有、そして下降トレンドに転じたら売却、という一連の流れを意識していれば、ここから大相場がやってきたとしても、しっかりと相場に乗ることができるはずです。

トランプ相場に乗り遅れてしまっている場合はどうするか?

また、足元の「トランプ相場」に乗り遅れてしまい、あまり日本株に投資できていない、という方は次のような点に気を付けて投資してみると良いと思います。

まず、騰落レシオが異常値を付けていること、トランプ相場がスタートしてから1カ月以上の間、日経平均株価が上昇を続けていることから、いつ調整局面に入ってもおかしくありません。もちろん、中長期的な天井をつけてしまう可能性だってあります。過去の160%超えのケースはあくまでも「経験則」であり、今回も100%同じようになるとは言えないからです。

そこで、「失敗したときに浅い傷で撤退できるかどうか」を第一に銘柄選択をするようにしてください。筆者が実践する「株価トレンド分析」では、25日移動平均線を割り込んだら売却ないし損切りとしますから、25日移動平均線からのプラスかい離率ができるだけ小さい銘柄を探すようにします。

また、下降トレンドだったものが25日移動平均線を超えてきた、というタイミングの銘柄も、25日移動平均線からのプラスかい離率が小さいので望ましい投資対象となります。

投資可能資金のうちどの程度の割合を日本株に投資するかも悩ましいところですが、日本株への投資割合が小さいほど失敗の際の傷が浅い反面、大相場となってもあまり利益を得ることができなくなります。逆に日本株への投資割合が高いほど、大相場になったときの利益が大きくなりますが、失敗したときの損失も膨らんでしまいます。

ですから、あくまでも個人的な見解ですが、しっかりと損切りが実行できるのであれば、投資可能資金の80%程度まで日本株に投資してもよいと思います。損切りが苦手ならば50%程度にとどめておいた方が無難です。

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