株価のトレンドを見れば「おおよその方向性」が分かる
とは言いつつも、決算でよほどのサプライズが起きない限りは、正確な予想は難しくとも、株価の大体の方向性については予想が可能です。それは、決算発表の前の段階ですでに株価に織り込まれています。そして、どのように織り込まれているかを私たち個人投資家が知るための方法が、株価の「トレンド」を読むことなのです。
決算発表の前の時点で株価が上昇トレンドにあれば、プロ投資家を含めた市場参加者のコンセンサスとして、その銘柄の業績が好調であり、先行きも期待できると判断していることが予想されます。逆に、決算発表前の株価が下降トレンドにあれば、その銘柄の業績はあまりよくないと予想されているのです。
ですから、確かに「ふたを開けてみないと分からない」とはいえ、トレンドを無視してやみくもに銘柄をチョイスするよりは、上昇トレンドにある銘柄からピックアップしておく方が、決算発表後の株価急落に巻き込まれる可能性は小さくなります。
究極的なリスク回避の手法もあるにはあるが・・・
それでも、中には「決算発表により保有株の株価が大きく下落するのはどうしても避けたい」という方もいらっしゃるでしょう。そのための究極的なリスク回避の手法が、「決算発表前には株を持たない」というものです。実際に、このようなスタンスを取っている個人投資家の方もいますし、デイトレードはまさに決算発表による株価変動リスクを回避することが可能な方法です。
しかし、この方法は確かに決算発表による株価変動のリスクを回避することは可能ですが、決算発表によって好業績銘柄の株価が急上昇したとき、これを享受することができなくなってしまいます。
もちろん考え方次第ではありますが、買った株の利益をできるだけ大きく伸ばすためには、決算発表の時期も保有を続け、決算発表による株価変動リスクをあえて抱えることで株価上昇の恩恵を得る必要があります。
「好業績」かつ「上昇トレンド」の銘柄を保有することがポイント
以上の点を箇条書きにまとめると、以下のようになります。
- 決算発表前後は決算内容や来期の見通しにより株価が大きく変動することが多い
- 株価変動のリスクを避けるためには決算発表時期に株を保有しないことが究極的な対策
- しかし、決算発表時期に株を保有しないと決算発表による株価上昇の恩恵を享受できない
- そこで、決算発表による株価変動のリスクを少しでも低減させるため上昇トレンドの銘柄のみを保有して決算発表を迎える
筆者は実際に決算発表前の段階で上昇トレンドの銘柄のみを保有し、決算発表を迎えることにしていますが、上昇トレンドの銘柄であっても、決算発表により株価が大きく値下がりしてしまうこともあります。
つまり、筆者の方法は、決算発表によって株価が下落してしまう銘柄が一定数発生してしまうことを覚悟しつつ、できるだけ決算発表によって株価が上昇する可能性の高い銘柄を保有する、というものです。もっと言えば、増収増益が続く好業績銘柄で、かつ上昇トレンドにある銘柄を中心に保有するということです。
今回は、主に決算発表の「前」の段階での注意点でしたが、次回は決算発表の「後」の段階でどのような点に気を付けるべきかをお話ししたいと思います。